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危機管理産業展2005での石原慎太郎都知事特別インタビュー(前編)
自助努力しなければ日本の危機管理はない
石原:
そういう状況が現在、東京の治安上の大きな伏流水として存在するわけです。こういった事態もかつてはありえなかった。

東京都知事 石原 慎太郎氏
外国人の犯罪をはじめ、東京に存在している危機の要因が今後、大きな形で爆発するか、しないかは、非常に小説的な予測を必要とするとは思います。
ただ、私たちがこれから直面していく危機の要因がかなり変わってきたことによって、以前と違った対応も必要になるということは肝に命じなければいけない。
そういう事態を見ていて、私は政府に「“FEMA=連邦危機管理局”(※)のようなものをつくったらどうですか」と提言したんだけれども全然動こうとしない。だから、佐々さんの力も借りて、首都圏にだけはそれに近いものを作りました。
※注
FEMA(Federal Emergency Management Agency:連邦危機管理局)は1979年に設立された米国の機関で本部はワシントンDCにある。全米10カ所に地域事務所を配置し、総職員数は約2500名。ほかにも、おもに災害時での活動をする約4000人の臨時職員がいる。具体的には、被害家屋・施設の調査、電話の対応、コンピューターネットワークの構築と運営などを行う。FEMAの活動は自然災害時のみならず核戦争などの国家安全保障などの広範囲に及ぶ。そのため、国防総省、エネルギー省、環境保護庁などとも密接なかかわりを持っている。

地下鉄サリン事件
地下鉄築地駅で汚染された電車内の除染作業をする自衛隊員(東京都中央区)
(写真提供:時事通信。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)
そういう危機管理に対して日本は非常に意識が希薄なんです。日本はもうとっくにサリンなどの化学兵器のテロを受けているというのに。
オウム真理教が起こした地下鉄サリン事件について、私は外国政府の人間などに「日本はその後の対策として何を具体的に実施したのですか」としきりに聞かれた。しかし、私は答えようがなかった。どう思い返してみても、日本がサリン事件の後にやったのは、いまだに長々と続いている裁判と合同慰霊祭ぐらい。後は本当に何もしなかった。
あの事件はまさに未曾有(みぞう)のありえなかった事態が突然、突出したのですが、それに対する用意は何もしていなかった。
「じゃあなぜ事後対策も考えないか」ということになるんですが、突き詰めていくと日本政府は、いろいろな危機管理というものは、米国に頼めば何とかなるだろうと思っているからなんですよ。もし、そうだったら本当に情けない話です。私はやはり危機管理については「自助」というものをもう少し本気で考えないといけないと思っているんです。
「天は自らを救う者を救う」―――というのは、人間社会の原理としても当たり前の話なんですよ。当たり前の話だけれど、その社会の原理をそろそろ本気で体得しないと、「何か誰かがやってくれるだろう」と思っていると、この国は、本当にとんでもないことになるんじゃないかと、改めて思っているんですよ。
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