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日本の危機管理はこれでよいのか(前編)
東京都知事 石原 慎太郎 氏
元内閣官房内閣安全保障室長 佐々 淳行 氏
その幕開けとして「日本の危機管理はこれでよいのか」と題し、石原慎太郎・東京都知事と佐々淳行・元内閣官房内閣安全保障室長の特別記念対談が行われた。衝撃的なオウム真理教の地下鉄サリン事件に始まり、最近では新潟中越地震、JR西日本の列車事故など、今や日本人は、これまでないほどテロ、災害、事故などの“危機”に直面している。世界に目を向けてみても、9・11以降、アルカイダによる日本も巻き込んだ世界的なテロ活動、北朝鮮の核保有問題、中国の抗日運動による暴動など、国内のみならず、海外でも日本人を取り囲む危険はますます増え続けている。それでは、いま日本を襲う危機の「本質」とは何か? 危機管理に必要なものは何か? 佐々氏は日本の危機の本質は「新たなABCD包囲陣」であると説く。一方、石原都知事は、危機管理の要諦を「自助努力」と訴えた。
文/川口 篤、写真/後藤 究
2005年11月1日
日本を襲う〝危機〟とは何か?


東京都知事 石原 慎太郎氏
石原:
日本は、世界最大の火山脈の上にある国土です。世界には活火山が800あるのですが、そのうち85が日本にある。だから国民も地震がやがては来るんだということは、みんな覚悟していると思います。
一方、世界情勢の視点から見ると、ヨーロッパ、中東で起こっているテロや紛争がある。レーニンは「近代ヨーロッパの繁栄は、ヨーロッパが、かつて持った植民地での搾取の上に成り立っている」と言った。私は本当にそのとおりだと思っています。
そして、過去のヨーロッパの植民地支配が原因となり、まさにイスラム教、キリスト教あるいはユダヤ教の紛争が多発しているのだと思うんですよ。
私と佐々さんは70年代の学園紛争以来から危機を乗り越えてきた年来の友人なのですが(笑)、そういうものを踏まえながら、佐々さんは、日本で地震や洪水など災害以外での危機は、どういう形で来る可能性があると思っていますか?
佐々:
「20世紀は戦争と革命の世紀だ」とよくいわれます。19世紀末からは欧米列強による植民地支配が、アジア・中近東地域に対して行われ、20世紀の後半から、この植民地支配に対する反撃が始まっているという状況だと私は思います。

元内閣官房内閣安全保障室長
佐々 淳行氏
そして、日本も「戦争」と「革命」に対しては、いろいろと法的な整備もし、一応自衛隊も「軍隊ではない」といいながら、アジアにおいては(特に対空防衛では)、最強の国家になったわけです。だから、政治指導さえ間違えなければ、安全対策はしっかりやれると思います。
さて、日本にとっての「戦争」というのは、現時点でははっきり言って「北朝鮮の軍事的な暴発に備える」ということになると思います。これは可能性があります。
北朝鮮は、中距離弾道ミサイルのノドンを200発も持っており、日本を仮想敵国に設定して、もうすでに実戦配備しています。このミサイルに、生物・化学・核兵器が搭載されるかどうかが、いま大変な問題になっているわけです。私にいわせればミサイルによる対日攻撃は戦争です。これに備えなければいけないんです。
一方、「革命」についてですが、ソ連共産主義が死滅して、軍事大国ソ連が崩壊した。この時点で共産世界革命はなくなってしまいました。したがって、イデオロギー的な革命闘争あるいは暴動というものは、しばらくは考えにくいと思います。北朝鮮の問題はありますが、「戦争」と「革命」による日本の危険度は、それほど高くはないと思っています。
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