落雷から身を守る!

――今年の夏、千葉県の海岸で海水浴中の事故も起きました。海での落雷の危険について教えてください。

新藤:
 陸地での発生件数ほど多くはないですが、過去にもサーフィン中に被害に遭った例などが報告されています。

 雷は高いものに落ちやすい傾向にありますが、周囲にそういった目標物がない場合は、海や砂浜にも落ちるものなのです。海で起きた事故の場合、直撃による被害はもちろんですが、海水を伝って流れてきた雷の電気が海に入っていた人に感電、その電気ショックによって気を失い、溺れてしまうという二次被害もあります。

――街中でも落雷による事故の危険はありますか?

新藤:
 周囲の建物が避雷針としての役割を果たすので、側撃も起こらないため、人身事故の危険性は比較的少ないといえます。しかし、人体に影響はなくても、送電線を直撃した場合に起こる停電によって、家電製品やネットワークに被害が及ぶ可能性もあるので注意が必要です。

落雷事故に遭わないための予防策

―─落雷事故を防ぐ具体策を教えてください。

新藤:
 雷の注意報が出ているときや、雷雲の気配を感じたときなどは、まず外出を控えてください。とはいえ、外出先で天候が崩れることはよくあることです。そういった場合は、鉄筋コンクリートの建物の中に速やかに避難することが最善の対策です。雷が落ちても、室内にいれば、電気は建物を通して大地に吸収されていくからです。しかし、電線を伝わって雷の電気が室内に侵入してくることもありますので、家電や天井、壁などからは1メートル以上離れておいた方がよいでしょう。

 自動車の中も安全ですが、落雷の恐れがあるときは運転は避けてください。落雷の光に驚いてハンドル操作を誤り、交通事故を引き起こしてしまうこともあるからです。

 周囲に何もない場合は、低い場所を探して、できるだけ身を低くして雷が収まるのを待つのが得策です。

 また側撃に遭わないためにも、決して高い木には近づかないようにしてください。ゴルフ場によくある木造の東屋や、山登りの途中にある山小屋などは、雷が直撃した際、木の柱などを通じて落雷の電気が内部にいる人に襲ってくる可能性があるので、必ずしも安全とは言えません。

 海では感電を防ぐため、速やかに海水から出るようにしてください。砂浜を通じて電気を感じることもあるので、できるだけ海岸からは離れた方が安全です。『ネックレスなど身につけている金属を外すといい』というのは誤解で、金属や絶縁物の有無と落雷の危険性に関係はありません。雷は、高いところを目がけて落ちる、ということを忘れないようにしてください。

―─落雷の発生を事前に察知するにはどうすればいいですか?

新藤:
 少しでも空がゴロゴロと鳴り始めたら危険です。音だけでなく、光も見え始めたら、雷雲はかなり近いということなので、落雷の危険度はいっそう高まります。ただし、雷は直下だけではなく斜めに広がって落ちることもありますから、たとえ雷雲が遠くにあっても油断は禁物です。

 雷雲発生の気配を知る手段として、AMラジオを携帯するという手があります。AMラジオは雲の中で放電が起こると、ガリガリというノイズ音を発するため、音の変化によって事前に雷雲の発生を察知することが可能です。

 電力中央研究所では、送電線に取り付ける特殊な避雷器の研究・開発など、主に停電事故の防止のためのガイドランをまとめ、各電力会社や発電所にフィードバックしていますが、パソコンの普及によって一般家庭にも落雷による通信機器の故障などが目立ってきていますので、今後は一般向けのガイドラインも構築していこうと考えています。

 今年の夏は昨年と比べて、雷の発生件数が非常に多くなっています。雷の危険は年間を通してありますので、夏以降も十分に気を付けるようにしてください。

――どうもありがとうございました。

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