落雷から身を守る!
夏は落雷事故が最も多発する季節だという。7月31日、千葉県白子町の中里海岸で海水浴客ら9人が死傷した事故に続き、8月5日には長野県下伊那郡松川町のキャンプ場で落雷によって中学生が一時心肺停止、8月23日には東京都江戸川区の区営野球場で高校生3人がけがをするなるなど、今年も雷による事故は相次いで起こっている。
雷が発生しやすい4月から10月は、海や山へ出掛ける機会が多いため、落雷の危険にもさらされやすくなる。では、どうすれば落雷から身を守ることができるのか。財団法人電力中央研究所電力技術研究所 上席研究員の新藤孝敏氏に、落雷事故の要因や、適切な避難方法について話を聞いた。

聞き手・文/鶴岡和也、写真/藤井誠
2005年8月24日

落雷が発生する仕組みを知ろう

―─まず、雷が発生するメカニズムについて簡単に教えてください。

財団法人 電力中央研究所電力技術研究所 上席研究員 新藤孝敏氏 財団法人 電力中央研究所
電力技術研究所 上席研究員
新藤孝敏氏

新藤:
 太陽熱によって地表が熱せられることで上昇した気流によって、『積乱雲』いわゆる『雷雲』が発生します。地上から5キロメートル以上の上空では、気温が氷点下となるため、大気に含まれている水分は凍ってしまい、細かい氷の粒へと変化します。それらが上空でぶつかり合うことによって、雲の上部はプラスの電気、下部はマイナスの電気を帯び、放電が発生します。雲の中や雲同士で放電する状態を『雲放電』と呼びますが、それが地表に向かって激しく放たれる現象が『落雷』です。  雷の電圧は約1億ボルト、家庭で使う電圧の100万倍になります。規模によっても異なりますが、1回の雷で放出されるエネルギー量は、最大で、一般家庭で消費する電気量の約50日分に相当するといわれています(※1)

※1 一般家庭の月平均電力使用量を287kWh(キロワット)と仮定した場合(東京電力調べ)

 太陽熱が強いほど上昇気流も強くなり、自ずと雷雲が出来やすくなるため、落雷は夏場に集中的に、特に猛暑といわれる年では頻繁に発生するのです。

―─年間で何件くらいの落雷が発生するのですか?

新藤:
 過去10年ほどの統計を見ると、平均して1年で50万回ほどの落雷が観測されています。現在は、落雷時に発生する電磁波を観測することで、落雷状況を把握する『落雷位置標定システム』が構築されたため、電力会社や民間の気象情報提供会社なども活用しています。その観測データを見ると、冬季(11~3月)の発生は日本海沿岸地域に見られる程度で、ほとんどが夏季(4~10月)に発生していることが分かります。

落雷位置標定システムによる年間落雷数(1992年~1996年の5カ年平均)
電力中央研究所『雷のふしぎ』より引用

 これは日本に限ったことではありません。地球規模で見ても、落雷の発生は暑さの厳しい赤道直下の地域に集中しています。例えばアフリカ大陸では、1年の約半分、2日に1度は雷が発生している地域もあります。

 夏の雷は、主に午後から日没に発生していますが、冬の雷は昼夜に関係なく発生しています。夏の雷に比べて、冬の雷はエネルギーがとても大きいこともあるので、年間を通した注意が必要です。

夏季雷(群馬・赤城) 写真提供:電力中央研究所

冬季雷(新潟・柏崎) 写真提供:電力中央研究所

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