郵政民営化解散の本質を問う!

第1回
自民党も民主党も、マニフェストは穴だらけ!

経営コンサルタント 吉田 繁治氏
2005年9月2日

 ビジネスマンの間で人気を誇るメールマガジン『ビジネス知識源』では、良質な経営・IT・ビジネス・経済知識の提供を目標に、様々な情報発信をしている。著者の吉田繁治氏の諒解を得て、郵政民営化解散に関する論考の部分を短期集中連載する。

 政治は、この1か月間、小泉首相の執念から予想外の展開を見せています。

 郵政民営化の参院採決は、造反が多いとの予測から、予定の8月5日(金曜日)から、8月8日(月曜日)にずれ込みました。TVで採決を見ていましたが、結果は賛成108票、反対125票。自民から22人が反対にまわり、欠席は8名でした。

 小泉首相は否決の直後、解散に反対した島村農水大臣(法案には賛成)を罷免(ひめん)し、衆院解散を表明しました。投票日はあの「9.11」(セプテンバー・イレブン)です。

会見する小泉首相
(写真提供:時事通信。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うこと は禁じられています)

 自民党執行部は、衆議院で否決した37名を公認をしないことも表明しました。自民は2派に割れ、反対派には新党を作る動きも表面化。郵政民営化の政府案を踏み絵にした自民の分裂選挙であることが、今回の選挙の本質です。

 きっかけは郵政民営化でしたが、その後の動きは、政策争点から離れ、自民内の反小泉でした。衆参両院での投票は、「小泉首相への従属か、反小泉か」を問うものに変わっていました。

 解散は、首相の専決です。しかし一般には、与党内の派閥の合意の上で実行されてきました。

▼「国民投票」へ

 ところが今回の解散は、小泉首相のほぼ独断です。自民のほとんどは、野党に転落するかもしれない解散・総選挙に反対しています。

 小泉首相は「政府の民営化案について事実上の国民投票を行なう」ことを解散の理由にしています。首相だけは、少数派への転落は想定していません。構造改革路線と郵政民営化への国民の支持は、厚いと見ているからです。

▼私の立場

 まず私の立場を明らかします。郵政の民営化には賛成です。

 しかし、郵貯と簡保の民間金融機関化、つまり株発行で予想される10兆円から15兆円の時価総額のうち過半を、外資系ファンドが買収し、[郵貯+簡保]の330兆円のジャパンマネーの運用を支配することには反対します。

 郵貯・簡保資金を、目的である民間経済のために使うには、「政府による株の買戻し特約」(注)をつけ、売却することが必要です。郵貯と簡保の資金が民営化の趣旨以外に運用されるようなら、買戻しをする特約です。

(注)買戻し特約は、国有地の払い下げ等ではよく使われる方法です。

▼本稿の目的

本稿では、

(1)意外に知る人が少ない郵政の民営化の内容(政府案、そして、与党内と民主党の反対理由等)を整理し、明らかにします。

(2)それによって「9.11国民投票」での政策的な争点を、はっきりさせようと思います。

 理由は、郵政民営化の適否を判断するのは、われわれ国民になったからです。その意味で、9.11は珍しい選挙です。「従来と異なり、次の首相と与党を国民が選ぶ」点で、総選挙の性格が変わります。

【今回の目次】

1.予想していたことと実際の展開のズレ
2.政府案
3.民主党の反対
4.問題の焦点
5.郵貯・簡保が国債を売却すれば
6.資金を民間に回すという政策は可能か?
7.郵貯・簡保資金は民間では使えない
8.金利高騰の臨界点が近い

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