翌日、吉野さんは現金の存在を思い出す。金額は20万円近く。関係する任意団体の会計担当として、近く使う予定で手元に置いておいた現金だ。2階にある自分の部屋に、封筒とポーチとバッグで三重に包み込んで、しまってあった。
恐る恐る確かめると、この現金が、封筒ごと姿を消している。バッグの口はきちんと元通りに閉まっていたが、ポーチのチャックはぱっかり開いたまま。「警察には改めて通報しましたが、『このレベルの空き巣になると、指紋は出て来ないでしょう』と言われてしまいました」。吉野さんはそのときの様子を振り返る。
空き巣はおそらく、和室の掃き出し窓を開けて、靴を脱いで侵入したのだろう。家の中を物色している最中に門や玄関から家人の帰宅を知らせる物音が聞こえてきたら、玄関とは反対側に位置する、侵入してきた窓から脱出すればいい。和室に面する小さな庭からは、いざとなれば、敷地の裏手に位置する道路に抜けられる。
侵入口となった掃き出し窓には、補助錠がある。しかしこのように下部だと、犯人はかがんで作業できるため人目に付きにくく、ガラスを割る作業も楽。
事件後、ガラス破り対策を、借家担当の不動産会社が施してくれた。面格子の付いていない1階窓のガラス面に、振動を感知するとブザー音を鳴り響かせる振動センサー付きブザーを張り付けてくれたのだ。
事件後、侵入口となった掃き出し窓など1階のガラス面には、不動産会社が振動センサー付きブザーを設置。
一方で、吉野さんのご家族も、外出時には雨戸を閉めるようにしたり1階リビングの照明は昼夜を問わずつけっ放しにしておくようにしたり、防犯対策に気を回すようになった。サッシ下部に備わるプッシュ式の補助錠も、クレセント錠と併用するようになった。








