おしゃれな3世帯住宅の弱点 2つの“関所”も無意味?

非常階段への侵入は「抵抗感なし」

 表通りは商店街で、夜間でも人通りは見込めそう。古くからのこじんまりした街なだけに、人の目は一定程度期待できそうだ。

 そこから、敷地の中を奥に向かって真っ直ぐ十数メートル進むと、非常階段にたどり着く。さすがにここまで奥に入ると、表通りに注がれている人の目を期待するのは無理がある。「人目がない。危ないですね」と甘利氏。

表通りからエントランス通路を抜けた奥に非常階段がある。ここまでくると人の目は期待できない

表通りからエントランス通路を抜けた奥に非常階段がある。ここまでくると人の目は期待できない。

 だれかがふらっと表通りから敷地の奥に入っても、不審に思われない事情もある。甘利氏は指摘する。「一見すると、賃貸マンション。敷地の中を奥まで入り込んで行く姿に気付いても、道行く人はそう不審だとは思わないでしょう」。

 しかも、表通りから非常階段までのエントランス通路には扉もなにもない。「ここからは他人の敷地」と主張するような区切りがないので、抵抗感を感じることもないのだ。侵入者にとっては、安心して奥まで分け入ることができる。甘利氏は、玄関ホールを通る第一の経路よりも、非常階段を通じて各階に至る第二の経路が危ないと認識しているようだ。

 敷地の奥は、周囲を建物に囲まれている。とはいっても、あくまで建物の裏手側なので、人の目は期待できそうにない。逃げ道がない袋小路かと思いきや、右手には細い路地があり、ここを抜けると別の通りに逃げ出すことができてしまう。侵入者がなにか作業するには、まさに格好の場所といえる。

 岩瀬さんは予定している対策を説明する。「右手の隣地との間には、ブロックを3段積んで、その上にフェンスを立てる予定です。高さ1.8mほどです」。なるほど、それなら、すぐには路地に逃げ込むことはできそうにない。しかし、大人なら十分に乗り越えることのできる高さ。逃げ道としての可能性は残されている。

「非常階段には人感センサー付きライトを設置する予定です」。岩瀬さんは改めて、侵入者に対するけん制の手立てを紹介する。「でも、反応して点灯したライトに気付いてくれる人の目がなければ、あまり意味はありません」。甘利氏の評価は手厳しい。

 

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