おしゃれな3世帯住宅の弱点 2つの“関所”も無意味?

編集協力/セコム IS研究所 甘利 康文氏

文/茂木 俊輔、写真/中野 和志
2月20日

 今回は建築中の3世帯住宅。コンクリート打ち放しの5階建てで、防犯診断を依頼された岩瀬さん夫妻(仮名)の世帯と双方のお母様世帯とが一つ屋根の下に暮らす家だ。見た目はおしゃれな賃貸マンションを思わせる。

 ここで、建物のあらましを簡単に説明しておこう。

 敷地は間口に比べて奥行きの深い形状。1階表通り側はカーポートで、中ほどに玄関ホール、奥に非常階段が並ぶ。2階と3階はそれぞれ、岩瀬さん夫妻のお母様が暮らすフロア。4階と5階は岩瀬さん夫妻が暮らすフロアだ。

2-4階プラン

 多世帯住宅というと、互いに頼る気持ちが働いて日常の防犯意識が薄くなるのではないかと心配だ。そこで何よりまず、各世帯へのアプローチを含め、家の造りを工夫することで建物の防犯性を高め、暮らしを脅かされないようにすることが大事になる。

 設計にあたっては岩瀬さんも知恵を絞った。玄関から各世帯までは2つの“ 関所 ”を設けるようにし、要所には人感センサー付きライトを設置することで防犯性を向上させようと考えたのだ。掲載した図は、岩瀬さんの考え方を図式化したものだ。

防犯を配慮して岩瀬さんが考えた各世帯へのアプローチ

防犯を配慮して岩瀬さんが考えた各世帯へのアプローチ

 外部から各階の住戸に至るには、二つの経路がある。一つは、1階玄関ホールからエレベーターに乗り各階に至る経路。もう一つは、1階奥にある非常階段を通じて各階に至る経路だ。

 二つの経路には、侵入を制御する“ 関所 ”と呼べそうな場所がそれぞれ2カ所ある。

 まず玄関ホールに入ってエレベーターを利用する経路をみていこう。

 第一の関所は、1階玄関ホールに入る玄関扉。扉は各階から操作できるもので、家人は来訪者の姿をインターホンで確認した上で、錠を開けて招き入れる。第二の関所は、エレベーターを降りたところと住戸との間を仕切る錠付きの扉だ。

 次に非常階段を通じて各階に至る経路をみていこう。

 第一の関所は、階段スペースを囲むフェンス。ここには錠付き扉を備えた。ここを抜けて階段を上ると、2階から4階までの各階のテラスに出入りできる。第二の関所は、テラスと住戸との間を仕切る掃き出し窓だ。

 岩瀬さんによれば、非常階段のフェンスは乗り越えることも不可能ではない。不審者の侵入をけん制する狙いで、人感センサー付きライトを取り付ける予定という。

 防犯の観点から言えば、外部と住戸を結ぶ非常階段はないに越したことはないが、非常時に各住戸から安全に避難する必要が生じることを考えると、非常階段は欠かせない。岩瀬さんの3世帯住宅ではそうした観点から、階段の設置が義務付けられた。

 こうした造りの住宅を、専門家はどうみるか。セコムIS研究所の甘利康文氏とともに、完成間近の建物を診て回った。

 

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