なにより避けたいのは、来訪者がひょう変して家の中に押し入ってくることだ。Yさんの住戸は5階なだけに、外から侵入しにくいことの裏返しとして、外には脱出しにくい。玄関ドアをふさがれてしまうと逃げ場を失う。
一番の対策は、玄関ドアを開けないで応対することだ。そして開ける場合はドアスコープで来訪者を確認すること。だが、それでも盲点はある。「ちょうど宅配便が届く予定があった上に、荷物と伝票らしきものを手に持っていたので、安心してドアを開けたら、勧誘の類だった」とYさん。さらなる用心が欠かせない。
Yさんの住戸にはインターホンが設置済み。このインターホンに一工夫加えることで、来訪者の確認をさらに強化してはどうだろうか。
「ドアスコープの場所にはめこむ小型カメラが市販されています。それとインターホンを接続すると画像付きのインターホンにでき、来訪者に『記録されている』と思わせて犯罪抑止につなげることもできます。音声変換装置付きのインターホンに取り替えて、居住者を女性と思わせないようにするのも効き目があります」(甘利氏)。
応対の仕方にも基本がある。「勧誘を断るときはヘタな策は弄しないで、ひたすら『必要ありません、お引き取りください』と繰り返すのが一番です。それでも引き取らないようなら、犯罪成立です」。甘利氏はアドバイスする。
「断るときにヘタな理由を言うと、相手に会話の糸口を与えてしまいます」と甘利氏。
「ただ‥‥」と心配そうなのは、Yさんの夫。「警察を呼んで、連れて行かれたとしても、そのうち自由になるでしょう。逆恨みを買うのが怖いですね」。実際、郵便受けの錠を壊されたり中にいろいろなモノを突っ込まれたりした経験があるだけに、Yさんの夫にしてみれば、ごく自然な気持ちに違いない。
また、現場の状況が分からないなかで、いざというときに警官がすぐに駆けつけてくれる保証はない。では、どうすればいいか。
甘利氏はこう提案する。「警察のほかにも通報できる、非常時の通報先を確保するのがいいと思います」。今のところ最適なのは、ホームセキュリティシステム。警備会社であればビジネスライクに対応してくれるので、迅速な対応が期待できる。また、必要に応じて、警備会社から警察へ通報もしてくれる。
閉ざされがちなマンション住戸と外界とを結び付ける安心の装置――。ホームセキュリティシステムはそうした役割も担う。
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