最後は、戸外に出て、家のまわりをぐるりと見て回る。窓などの開口部はほぼ面格子付きか雨戸付き。雨戸付きの窓はおおむね表通りから見えるので、破壊作業にはリスクがつきまとう。
ところが、唯一、表通りとは反対側に位置する場所に、雨戸付きの開口部があった。1階リビングの掃き出し窓だ。その窓の外には、ちょうど家族でバーベキューを楽しもうと造り込んだ庭がある。この庭に入り込むことができれば、人の目を避け破壊作業をすることができてしまう。
「ここが最も危ない」。甘利氏と川嶋氏は深刻顔だ。人の目線がなければ、ガラス破りにいくらでも時間をかけることができる。もちろん、Tさんにも自覚はあった。だからこそ、“赤丸シール事件”以来、外出時には、この掃き出し窓の雨戸を閉めるようにしている。
しかし、ここには大きな誤解があった。戸袋から雨戸を引き出して軽く持ち上げると、雨戸はいとも簡単に敷居から外れるではないか!
軽い雨戸は、いとも簡単に外すことができた。
驚いたのは、Tさんだ。てっきり防犯用だと思い込んでいたからだ。「こんなに簡単に外せる雨戸だったなんて」と困惑を隠せない。「外出するときに閉めていた、あれには意味がなかったのでしょうか‥‥」。甘利氏は説明する。「雨戸は雨風を防ぐもので、防犯用ではありません。もちろん、雨戸を外す作業は怪しいので、周囲に人の目があれば簡単にやられることはないでしょうが、この場所ではそれは望めませんね」。
では、どのような対策を加えればいいのか――。甘利氏も川嶋氏も強調するのは何より、この場所に立ち入らせないようにすることだ。具体的には、センサー付きライトを取り付けて、この場所に近付くと反応するようにしておく。それが一つの手だ。
それでもこの場所に侵入して来られると、打つ手は限られる。開口部である掃き出し窓の造りをいくら強化しようとも、時間をかけさえすればガラス破りは可能なだけに、侵入は避けられまい。ホームセキュリティシステムを取り入れて、侵入後の作業に余裕を与えないようにするほか残された道はない。
ただ、留守を狙って侵入する空き巣に対しては、在宅を装おうことも考えられる。甘利氏はこうアドバイスする。「家の中にだれかしらいるかもしれない、と思わせるのは、それなりの意味があります。照明やラジオをつけるようにしておくのは手ですね」。
間もなくお盆。留守を狙って侵入する空き巣にとっては、人の目が少なくなる好機とも言える。“赤丸シール事件”以来、最大のヤマ場とも言える時期を迎えるTさんは、さらなる対策を急ぐ必要があるだろう。
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