ある時ふと、インターホンの脇に目をやると、直径5ミリほどの赤丸のシール。「これ、マーキングじゃないかしら」。
「マーキング」というのは、泥棒が狙った家に付けておく目印。Tさんは、実家で聞いた話を思い出して、ピンと来た。
実家で聞いた話をTさんは振り返る。「実家とその両隣のお宅を含めた3軒にマーキングと思われる色付きのシールが張られたことがありました。ただ、両隣のマーキングは実家とは違う色だったんです。そして、実家に被害はなかったものの、両隣のお宅は空き巣に入られた。実家は日中、人がいることが多いけれど、両隣は留守がちだった。その目印だったのでは、と話していました」。話の内容はまさに、「マーキング」の利用を裏付けるものだった。
赤いシールは、すぐにはそれと分からないインターフォンの脇に張ってあった。いたずらか、マーキングか?
専業主婦であるTさんは日中、原則として家にいる。ただ、周囲は農家や住宅が混在する一帯で、人通りは日中でもごくわずか。
ご近所のあるお宅に聞いてみると、その家にも同じような赤丸のシールが張ってあったという。しかもそのお宅では、留守中にバールのようなもので雨戸をこじ開けようとした跡が見つかったことがある。
自分の家と同じ色のシールを張られた家が狙われた?――。真相は定かではないものの、シールを張られた側としては不気味に違いない。“赤丸シール事件”以来、戸締まりを強化しようと、Tさんは外出時、雨戸も閉めるようになった。






