編集協力/セコム IS研究所 甘利 康文氏、STEP総合研究所 主任研究員 川嶋 宏昌氏

文/茂木 俊輔、写真/中野 和志
5月15日

 Gさんは安心しきっていた。5年前に家を新築した時も、取り立てて防犯に力を入れることはなかった。窓ガラスはペアガラス仕様。住宅メーカーからは、「1枚目は割られても、2枚目を割られたことはない。泥棒に侵入されるような家ではありません」と、頼もしい一言を聞いていた。

 ところが、泥棒は侵入した。昨年8月、夏休み中の日曜。家族全員で朝6時から夜10時過ぎまで家を空けていた時のことだ。雨戸代わりのシャッターはもちろん閉めて出かけた。しかし、それは裏を返せば、留守を公言しているようなものだった。

 10時過ぎに家にたどり着いて、すぐには“異変”に気付かなかった。だれかが侵入した形跡があることに気付いたのは、10分ほどたってからのことだ。「部屋の中は、ふだんと変わりありませんでした。ところが台所に入ると、勝手口のガラスが破られている。すぐに警察に電話して、2階の様子を確かめに上がりました」とGさん。

 案の定、2階寝室の化粧台には引き出しを開けた跡があった。取られたのは、婚約指輪など宝飾品100万円相当。1階の被害を確かめると、和室の押し入れの中に置いておいた現金20万円も姿を消していた。ガラスを破る手口の鮮やかさ、部屋を物色する手際の良さから、プロの単独犯と見られた。

勝手口のドア(外側)。泥棒はここから侵入した。

 Gさんの話によれば、手口はこうだ。泥棒はまず、勝手口のドア外側にある網戸を焼き切った。そして、ドアにはめ込んである合わせガラスに穴を開け、手を差し入れて、ドアノブ上下に取り付けられた二つのサムターンを回して錠を開けた。下のサムターンは容易に回せないようにクランプと呼ばれる工具で固定していたものの、泥棒は恐らく手探りでこの工具を取り外してみせた。

 勝手口は表通りからは死角になって見通せない。それだけに、日ごろ台所に立つGさんの妻は勝手口からの泥棒の侵入を警戒してはいた。普段、勝手口は使っていなかったこともあって、ドアノブの上下に取り付けられた二つの錠は常に閉めていた。そのうえで、下のサムターンには工具を取り付けた。ドアを開けるとがらがらと音を立てるように、空き缶を詰め込んだレジ袋をドアノブにぶら下げてもいた。

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