すぐそこにある危機

第31回
外来種の毒グモが 関西から中部に進出中
駆除追いつかず被害多発

文/藤田 香(日経エコロジー)
2008年7月15日

 「関東にいつ定着してもおかしくない」。自然環境研究センターの岸本年郎研究員は警告する。黒い背中に赤い模様を持つオーストラリア原産の毒グモ、セアカゴケグモのことだ。1995年に大阪で初めてこのクモの上陸が確認されて以来、生息地は近畿7府県に広まり、今年6月には愛知県の長良川と木曽川の河川敷で148匹と140個の卵が見つかり、中部地方でも越冬と定着を決定付けた。

写真/宝塚市HPより

 この毒グモはコンテナに紛れて日本に侵入し、荷物や資材に付いて広がったとみられている。「物流に加え、ヒートアイランドも拡大を後押ししている」と岸本研究員。日当たりのよい暖かい場所を好むこのクモは、側溝や自動販売機のすき間などに巣を張る。首都圏をはじめ西南日本のどこでも生息条件は整っているという。

 関西ではクモにかまれて、激痛と腫れ、吐き気を訴える事故も多発している。庭でサンダルを履いていて、公園で遊んでいて、玄関で長靴の中のクモに襲われる例も。

 外来生物法の特定外来生物に指定されているが、防除は追い付いていない。「今年5月の岡山県水島港での根絶例のように、定着していない場所では徹底的に駆除するのが望ましい」と岸本研究員は指摘する。毒グモと人とのいたちごっこは全国に飛び火しそうだ。

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