第8回
平清盛も想定外
異常気象で頻発する厳島神社の冠水や破損
文/藤田 香(日経エコロジー編集委員)
2006年8月18日
<台風・厳島神社の復旧作業>
台風18号で壊れた厳島神社の復旧作業に当たる人たち(広島・宮島町)
(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)
2004年9月の台風襲来で国宝の左楽房が倒壊し、全37棟のうち国宝と重要文化財30棟が被害を受けた広島県宮島町の世界遺産・厳島神社。7億9000万円を要した修復作業は今年9月に完了予定で、風雅な姿がよみがえる日も近い。
そんな中、神官たちは近づく台風シーズンに緊張感を募らせている。「1962年から厳島神社に勤めているが、90年以降、台風が大型化した。91年、99年、2004年と、被害を受ける間隔も短くなった」と、飯田楯明禰宜(ねぎ)は心配する。
6世紀に創建され、1168年に平清盛によって現在の形に造営された厳島神社は、大潮の満潮時に高さ4mの回廊の下すれすれまで海面が迫り、社殿が海に浮かぶように設計されている。「清盛も20~30cmの冠水は覚悟の上だった」(飯田禰宜)といい、「回廊の床板にすき間を作り、海面上昇時にすき間から水があふれ、水圧による破損を防ぐ構造になっている」。
しかし、近年の異常気象は予想をはるかに上回った。2004年の台風時は回廊の上50cmまで冠水。1990~2000年に年1日程度だった神社入口の冠水は04年に20日に急増。温暖化による海面上昇と、黒潮の蛇行や暖水塊の接近に伴う異常潮位が原因とされる。栄華の象徴が水没の危険があるとは、清盛も予測できなかったに違いない。
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