業界は官にすがり、官は個人の嗜好に入り込む
以上の「たばこ感」を踏まえて、「タスポ」を改めて考える。たばこ業界は「タスポ」対応自販機を全国に導入しようとした。ところが、小売販売店は7万円ほどの改修費用がかかるなどの事情で、難色を示した。
そこで業界はたばこの所管官庁である財務省理財局の塩たばこ事業室長あてに、行政指導で販売店を従わせてほしいと陳情した。平成18年9月28日付の文書は「たばこ自動販売機における成人識別機能搭載および稼動がすべての販売店で実施されるよう、法的規制のあり方を含めた行政によるご指導等のご検討依頼」というタイトルである。安倍内閣発足の2日後というのが妙に気にかかる。
これを受けて財務省理財局長名による行政指導が通達され、今年7月1日から「タスポ」対応自販機に切り替えないと営業停止処分を受けることになったものだ。
民間業界が所管官庁に強制力を持った行政指導を依頼する。上記の文書のなんともへりくだったタイトルにはヘドが出る。小泉元首相は「官から民へ」を改革路線の軸に据えたが、これに真っ向から反するものだ。たばこ業界は自主規制ができないため、官の「お助け」にすがったのだ。官尊民卑を地で行く行為である。
たかが、財務省理財局長ごときが(と、あえて言う)、社会の倫理規範の範疇に属するような世界に入り込んできてはいけない。そこが「タスポ」の最大の問題点であって、これは見過ごせない重要な意味合いをはらむ。
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