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我々の国家はどこに向かっているのか

上から下まで弛緩した防衛省

 防衛省はインド洋での海上自衛隊の米艦への給油量を間違えるという手痛いミスも犯した。それも間違いに気付いていながら上層部へ報告をせず隠蔽したため、イラク作戦への転用疑惑に発展した。80万ガロンを20万ガロンと間違って記載したものだが、「20万ガロンなら1日で費消する量だから、イラク作戦には使えない」と主張してきた根底が崩れてしまったのだ。

 海上自衛隊の給油支援を継続するための新テロ対策特措法の審議は、「守屋問題」と「給油量隠蔽疑惑」によって、野党が勢いづき、おかしな方向に捻じ曲げられようとしている。守屋氏らへの証人喚問も浮上した。喚問をやるのは結構だとしても、日本の国際貢献はいかにあるべきかという基本的な論議が吹っ飛ぶのは間違いない。

 政治的に見れば、この二つの疑惑が主題となったことで、新法の今国会成立はいよいよ絶望的となり、福田政権としては未成立の「格好の」理由ができたという側面もないわけではない。米国や国際社会に対しての「言い訳」にも使えよう。だが、それではいかにも情けない事態といわなくてはならない。

 要は、「平和ボケ」が防衛省トップにも蔓延していたという冷厳な事実を見据えるべきではないか。日本に照準を合わせたミサイルを大量に配備している隣国があり、さらには、「9.11」と同様のイスラム過激派によるテロが日本国内で起きない保証はない。地震などの大災害もあり得る。

 防衛省は防衛白書そのほかで国防・危機管理への備えを強調してやまないが、その肝心のお膝元がこの体たらくである。石破茂防衛相は守屋氏に退職金の返還を求める意向を明らかにしたが、「お仕置き」としてはまだ足りないぐらいだ。

 防衛省にはイージス艦の機密漏洩などの問題も生じた。憲法上は「軍」ではないことになってはいるが、実態は世界有数の実力を備えた軍隊である。本来、軍には特別の軍法が必要で、国家の最高軍事機密を扱う以上、一般の公務員よりも厳しい規律が求められるはずなのだが、憲法の建前がそれを許していない。問題を起こしても一般法が適用される。

 上は業者とゴルフ三昧、下は給油量を間違え、機密を漏らす。厚生労働省の「薬害肝炎リスト隠し」も人命にかかわる由々しき問題だが、防衛省には国家の安全保障が託されているのである。国家が容認した格別の暴力装置を保有する役所なのだ。米国では国防総省としてほかの省庁とは別格で扱われている。「省」に昇格したことでもあり、それにふさわしい組織の在り方を巡る総点検が求められている。

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