第81回
「お上を懲らしめる」つもりだった安倍前首相
政治アナリスト 花岡 信昭氏
2007年10月19日
福田康夫首相は順調な政権運営を進めているように見える。国会答弁もそつがなく、ときにいなしたり、怒ってみせたり、その老練さを遺憾なく発揮させている。
そこで最重要課題であるテロ特措法「新法」が閣議決定され、いよいよ臨時国会での本格審議に入る。というと福田政権がその命運をかけて政治決戦を挑もうとしているかのように見えるが、実態はどうやらそういうことではないらしい。
福田首相を見ていると、何が何でもこの国会で成立させるという気概はなさそうだ。安倍前首相の突然の退陣表明によって、思わぬところで政権が転がり込んできた福田首相だが、テロ新法が最大の政治課題となっているのは、たまたま11月1日が現行法による派遣期限切れにぶつかったからにほかならない。福田首相が望んでしたことではない。
自民党内には、こんなことなら参院選前に強行採決でも何でもやってテロ特措法改正を成し遂げておけばよかった、といった泣き言も聞こえてくるのだが、いまさらそれを言っても始まらない。
とはいえ、通常国会を延長させて国家公務員法改正案を成立させた勢いを、むしろ、このテロ特措法に使っておけばよかったという反省は、繰り言以上の意味を持つ。
あのとき、安倍晋三前首相が国家公務員法改正に執念を燃やしたのは、「天下り規制」が国民の圧倒的な支持を得るはずという判断に基づいたものであった。
年金問題も厚生労働省から社会保険庁に天下りした高級官僚の存在がその背後にあった。天下りした社保庁長官はほとんど2年程度で次の天下り先へ移っていった。その間、大過なく過ごせればそれでいいのだから、労使の密約などの存在に気付いていても知らん顔をしていた。
年金改革と天下り規制を連動させるというアイディアをだれがどう持ち込んだのかは明らかではない。だが、渡辺喜美行革担当相はこれに飛びつき、その特異なキャラクターをフルに使って天下り規制の重要さを訴えた。
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