消費税回避が最大の狙い
この稿で言いたいのは、笹川氏の期待とは裏腹に、「たばこ1000円」が政略にまみれ始めているということだ。「上げ潮派」の中川秀直氏は自身が1日2箱のヘビースモーカーだが、たばこ増税に向けての議員連盟をつくるなど、先頭に立っている。消費税回避が最大の狙いであるのは言うまでもない。
来年度から基礎年金の国庫負担が3分の1から2分の1に引き上げられ、この財源2.3兆円の確保が迫られている。消費税1%は2.5兆円の税収になることから、消費税引き上げを当然の前提としてきた。それが、「たばこ増税」構想によって、いとも簡単に政治の舞台から消えようとしている。
おそらく落としどころは500~600円程度への値上げである。1000円なら9兆円の税収が見込まれ、喫煙者が3分の1に減っても3兆円は大丈夫といわれてきた。500~600円にしたら、喫煙人口の減少はどれだけ食い止められるか。その次第によって、税収規模が変わってくる。
これに、特別会計や独立行政法人などの剰余金といった「埋蔵金」が加わる。たばこの値段をどうするかは、基礎年金国庫負担分をどういう組み合わせなら確保できるか、という計算次第ということになる。
わい小化された政治の実態がそこに浮かぶ。後期高齢者医療制度の不手際、年金5000万件の未処理といった当面の問題もさることながら、医療、年金、介護の将来構想の全体像を分かりやすく国民の前に提示し、判断を仰ぐのが政治の本来の姿だ。そこには財源確保策としての消費税が不可欠の要素となる。
おそらく大連立が成立していたら、消費税の大幅引き上げが最大のテーマになったはずである。ドイツのメルケル政権も大連立だからこそ、消費税引き上げが可能になった。その絶好の機会を逸したという点で、大連立構想の破綻は日本政治の成熟を遅らせてしまった。
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