第109回
自民党に「福田おろし」が出ない理由
政治アナリスト 花岡 信昭氏
2008年5月15日
福田内閣の支持率は20%を割り込むほどの低迷状態が続いている。国会は機能不全状態に陥っている。であるにもかかわらず、自民党内には「福田おろし」の動きはない。そこが政治のおもしろいところと言ってしまっては不謹慎のそしりを免れないが、政治力学から見ると、この政権の党内基盤は意外に強固なのだ。
通常国会の与野党攻防戦は、13日の道路整備財源特例法改正案の衆院再可決で大きなヤマを越えた。民主党は参院で首相問責決議案を提出しなかった。これによって、福田首相は当面の危機を乗り越えたといっていい。
未成立の法案が相当に残されてはいるが、これ以上の無理はしないとハラをくくれば、国会の波乱要因はほとんどない。民主党は国民に評判の悪い後期高齢者医療制度の廃止を求め、野党多数の参院で廃止法案を可決する構えだが、代案は用意されていない。だから福田首相としては放っておけばいい。
中国の胡錦濤国家主席の訪日、これに先立つ長野での聖火リレーなどを巡って、中国擁護とも見える福田首相の態度に批判も出たが、四川省で起きた巨大地震がすべてを押し流した。これが「政治のアヤ」というものだろう。未曾有の規模の地震被害の前には、チベット問題や毒ギョーザ事件などを巡る中国批判は吹き飛んでしまう。
福田首相にとっては、これで党内外の保守派からの攻撃も気にしないですむ。これまた不謹慎な言い方になるが、中国巨大地震が福田政権を助けているという側面を見逃すべきではない。
通常国会は6月15日までだが、法案の未処理を覚悟しさえすれば、大幅延長はしなくてもいい。延長したところで、7月の洞爺湖サミットや8月の盆休みの前後は休会になるのだから、9月に臨時国会を開くのであれば、閉幕しようが延長しようがほとんど変わりはないという見方も可能だ。
衆参ねじれによる「再可決」もこれだけ繰り返せば常態化していくわけで、「参院送付後60日たっても結論が出ない場合、否決とみなす」という憲法規定を使うことへの抵抗感は薄れる。ということは常に60日の余裕を持って衆院で強行可決すれば国会は乗り切れるわけだ。これが自民党内に妙な安心感を生んでいる。
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