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「稼いだお金」だからこそ使い道を見極める目が育つ
お金回りのことを理解するために、なぜお金を得る必要があるのかということと、得る手段を最初に教えなくてはならない。つまり、生活するためには物々交換では現代の生活は成り立たないため、お金という道具が必要であること。そして、その道具は一般的には労働力の提供で得られるということである。さらに、得られるお金の量には限りがあり、それを上手に使って生活を成り立たせる必要があるということもだ。
生活の中でお金に触れる体験としては、お使いがある。しかし、必要なモノを買ってお金を払うということはしても、そのお金をどうやって得てきたのかということを説明してからお使いにやる親は多くない。
また、仕事に関して、現在、中学2年生を中心として職業体験を行う学校は多いが、仕事の触りを体験するだけであり、仕事をして稼ぐことで生活が成り立つというところまで教えているとは、ほとんど聞いたことがない。
一方、商店街や一部の学校の先生、ファイナンシャルプランナーなどが、子どもたちにお店やさん体験をさせながら、労働とお金の関係を学ばせる講座が増えてきている。
昨年(2005年)、平塚市サンロードあさひ商店会で小学生向け講座(商店会主催)を行ったが、ゲームなどを交えたお金回り講座3回の後、2回の準備を経て、地元のお祭でお店やさんを開いた。集まった子たちは小学3年生が中心だったため、あまり難しい話はせず、ラムネを仕入れて売り、完売したら一人500円の報酬が得られるということにした。
子どもたちは、最初は店に来たお客に売るという待ちの姿勢だったが、完売しないと500円払えないよと何度か話すうちに、いろいろなアイデアを出し始めた。大きな声で「冷たいラムネはいかが?」と道行く人に声をかけたり、焼き鳥屋の横へ出前販売に行ったりした。焼き鳥を食べたらのどが渇くだろうから、ラムネを買ってもらえると考えたとのこと。
時間の制約により、あとわずかで完売とはいかなかったが、商店会の好意により、ひとり500円を受け取れることになった。そのとき、子どもたちがどれだけ丁寧にお金を受け取ったことか! そして、Aちゃんは、もったいないから今は使わずに欲しい物が出てくるまで貯金すると言い、Bちゃんは、そのお金で家族にラムネを買って帰ると言った。
事前に、必要なモノ(物だけでなく、目に見えないサービスも含めて)と欲しいモノを区別することの必要性を伝えてあったが、Aちゃんは今は必要なモノも欲しいモノもないから大切なお金をその時が来るまでとっておこうと考え、Bちゃんは大好きな家族に自分が売った冷たくておいしいラムネを自分の力で稼いだお金でぜひ飲んでもらいたいと考えたのだ。どちらも正解である。
夕暮れ時、お店やさんに子どもを迎えに来た母親は、夫が会社員なので子どもに仕事とお金の関係をどうやって教えればいいのか困っていたそうで、講座の開催を知って子どもを参加させたと話してくれた。家庭内のお手伝いに報酬を払うことには抵抗があるので、めったにない機会と思ったそうだ。
お金の使い方には、生き方が表れる。貯め方も同様だ。これが正しいという答えは一つではない。
ただ、いずれにしても、自分自身のお金であることが大切である。自分自身の手で必要なだけのお金を稼ぎ、稼いだ範囲で暮らすことを基本とすることは、何よりも先に教えたい。子どもには、親が一生懸命働いてくるからこそ今の生活が成り立っていることを伝えることだ。
コツコツと働いて稼いでくるから年金保険料も税金も払えるし、投資の元本も用意できるというものである。
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