子ども・家族にかけるお金を考える

第1回
ニートの存在はあなたの家計を直撃する!
~座談会:なぜ、ニートが増えつつあるのか(前編)~

子供にかけるお金を考える会
2006年1月25日

ニートとフリーターは、お金の面から見る限り「紙一重」

 若者層において、教育も職業訓練も受けていない、いわゆる「ニート」がじわじわと増え続けている。ニートの増加は、国や社会のレベルにおいて、税収の減少、競争力の低下といった面で大きな懸念を呼んでいるが、個々の家族においても、将来の生活設計やマネープランなどを考えた場合に、大きな問題をはらんでいる。

 そこで、なぜニートが急激に増えてきたのか。そして、ニートの増加は家族や社会に何をもたらすのか。「子どもにかけるお金を考える会」のメンバーに、その専門である「お金」をキーワードにして、ニート問題を語っていただいた。

 前半の今回は、ニート増加の原因と、所得減少時代におけるニート問題が話題となった。

畠中 雅子氏

畠中:
 最初に、この会を作った経緯から説明しましょう。

 私たちは、ファイナンシャルプランナーとしての仕事の一環として、これまで老後資金の相談を受けてきたのですが、数年前から社会人となった年齢の子どもについての相談が目立つようになりました。

 「老後資金は十分にあるのだが、子どもが働かなくて困る。働いていない子どもにはどのくらいのお金を残したらよいか」「働いている子と働いていない子がいる。どう分配すればいいのか」という内容の相談が増えてきたのです。

 働かない子どもと親の老後の問題を、どう解決すればいいのか――それを考えていくために、このような会を立ち上げたというわけです。

高橋 希代子氏

高橋:

 まず、ニートとフリーターの違いについてですが、世間では、フリーターのほうが働く気があるだけ、ニートよりもましだと考えられているようです。でも、お金の面から見る限り、両者は紙一重といっていいでしょう。

 フリーターも、30代なかばを過ぎると、アルバイトが見つかりにくくなる。そこで、就職できるまで家で待機しているうちに、ずるずると仕事をしなくなるといったパターンも多いのです。就職浪人がそのままニートになるという例も少なくありません。

 いずれにしても、継続して働く子どもがいないことには、親の生活設計ができなくなるという問題が起きてくるのです。

畠中:
 ニートの子を持つ親には、はっきりとした共通点がありますね。それは、「親が甘い」ということです。とくに、「子どもに干渉しつづけている親」「物分かりのいい親を演じようとしている親」は要注意です。典型的なのが、子どもがいい年になっているのに、家事をすべてやってあげているという親でしょう。

 「うちは、きちんと子どもに家賃を払わせている」という親でも、よく聞くと、そのお金を子どもの名義で貯金しているという人が多いのです。

 そんなお金があるとわかっていれば、子どもは真面目に貯蓄しようとはしません。結婚資金も親が出してくれると思えば、お金を貯めるモチベーションは低いままで、生活設計をきちんと立てようとは思わないでしょう。

高橋:
 要は、親に社会性があるかどうかが問題だと思います。社会性といっても、難しいことではなく、たとえば「家族が生活するにはこれだけ費用がかかる」ということを説明するだけでもいいのです。

 小さいころからそういう話を耳にしていれば、自分が仕事を失ったときに、「なんとかしないと、生きていくことができない」と判断がつきます。そうすれば、子どもは自分で仕事を探し、自分で主体的に生きていくことができるでしょう。

 ところが、最近では親が先回りをしてしまい、子どもを甘やかしてしまう傾向にあります。

 「あら、失業したの。かわいそうに、じゃあうちにいたら」と言ってしまう。そんなことを言われれば、必死に仕事を探そうとしないのは当然です。

畠中:
 私には3人の子がいるのですが、なかでも長女は意欲がなく覇気もないので、ニートになりやすい性格だと思っています。そこで、社会人になって1年が経過した頃には家を出ていってもらうことを約束しました。そうでもしないと、間違いなくニートになってしまうと考えたからです。

 ところが、私がそう言うと、同世代の母親からは、「なんでそんな冷たいことができるの」とか「子どもと住みたくないの」という反応が返ってくるのです。

 でも、23歳といったら立派な大人ではないですか。むしろ、本人のためを思って、自立してほしいと願っているのですが……。それをいつまでも「かわいそうに」などと言って甘やかしているから、ニートが増えていくのではないでしょうか。

坪川 仁保氏

坪川:
 母親が子どもを甘やかす理由のひとつとして、自分の離婚願望を挙げられるかもしれません。母親自身があまり幸福な結婚生活をしていないものだから、自分の子どもにも「結婚しなくてもいい」と言ってしまうのでしょう。

 ニートが増えているのは日本だけの傾向ではありません。そもそも、ニート(Neat)ということばが生まれたのはイギリスですから、先進国ではある程度、世界的な傾向なのでしょう。

高橋:
 ニートには地域差もありますね。おもに、都会で親と同居している人に多い。都会に比べると、地方では数が少ないといっていいでしょう。

 地方では、そもそも仕事の口がないので、自分で積極的に仕事を探さないと暮らしていけないからだと考えられます。いずれにしても、自分の子をニートにしないためには、「社会に受け入れてもらおう」とする力を身につけさせることと、「自分たちの若い頃とは、時代が違うんだ」ということを親が受け止めることが大切です。

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