おわりに
代理母という技術は、単に個人に対する医療技術であるだけではなく、夫婦は子どもを持つべきだという価値観、養子よりも遺伝的つながりのある子どもが望ましいという価値観をも含んでいる。
そうした社会的価値観を生殖技術で補助することで、維持・強化するかどうかという判断で影響を受けるのは、現代社会を生きる人々と、これから生まれてくる次世代の子どもたちみんなであって、一組の夫婦と代理母と生まれてくる子どもだけではない。
代理母も含めた生殖技術などの先端医療についても、医療者は、当事者である個人へのリスクに関する責任を明確化することだけではなく、その技術に関するアカウンタビリティを社会全体に対して果たすことが求められている。
先端医療に伴う社会的リスクの問題に具体的な解決の道筋を与える一助となることは、今後の医療社会学の大きな課題といえる。
この連載のバックナンバー
- 代理母をめぐる応答責任(アカウンタビリティ) (2006/10/31)
- いびきと居眠りは病気? (2006/10/10)
- 抗うつ薬は何に効く? (2006/09/19)
- なんと、入院してしまいました(2) (2006/09/06)
- なんと、入院してしまいました(1) (2006/08/22)

