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医療社会学からみたリスク

第20回
代理母をめぐる応答責任(アカウンタビリティ)

神経内科医・医療社会学者 美馬 達哉氏
2006年10月31日

代理母という問題

 本年10月15日、50歳代の女性が、ガンのために子宮摘出した娘夫婦のために代理母出産をしていたことがマスメディアに公表された。その娘本人の卵子(または卵、以下は卵子で統一)を用いて作成した夫婦間での受精卵を、その受精卵からみれば祖母に相当する女性の子宮に移植して出産したということなので、「祖母が孫を出産」とのセンセーショナルな記事が新聞紙上を賑わせた。  

 分娩した女性の実子として出生届を提出し、あらためて娘夫婦の養子としたとのことであり、法律上の形式としては問題ない。ただし、日本産科婦人科学会などの指針では、家族関係が複雑化する点、代理母となる女性へのリスクが大きい点、そのほかの理由を挙げて、代理母出産を禁止すべきとしている。

 心情的にはともかくも、客観的に見れば、赤の他人であろうと祖母であろうと、子どもが欲しい夫婦(またはカップル)にとっての第三者であることにかわりはなく、国内では禁止の代理母出産であることは明らかだ。

 このケースの場合は、祖母が代理母であるため、代理母契約が結ばれたり、対価が支払われたりということはなかっただろうと推定される。

 しかし米国では、生殖技術を応用した代理母と契約を結ぶという出産方法が既に商業化されている。その結果、代理母である女性が分娩した子どもを手放すことを拒否する場合や、生まれた子どもが健康でなかった場合に引き取りを拒否される場合などには裁判沙汰になることもあるようだ。

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