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医療社会学からみたリスク

てい毛の感染リスク

 1971年に、米国ニューヨークの医師セロピアンとレイノルズによって発表された研究には、こんなデータが示されている。

 彼らは、外科的な手術が必要だった患者500人以上を対象として、入院番号が奇数だったときには手術前にカミソリを使っててい毛し、それ以外には脱毛クリームを使って、術後の感染が起きるかどうかを比べた。もちろん、それ以外に、子どもなどの場合で、てい毛も脱毛も行わなかったケースもあった。

 その結果では、驚くほどハッキリした差がでている。カミソリでてい毛された患者249人では、術後に傷口の感染が起きた者が5.6%だったのに比べて、脱毛クリームを使った患者157人ではわずかに0.6%、術前に何もしなかった患者155人でもほぼ同じの0.6%だったのである。

 また、てい毛されたグループの中で比べてみると、手術の直前にカミソリで剃った場合には傷口の感染のリスクは3.1%だったが、手術の1日前にてい毛された場合には7.1%、1日以上時間がたっていると20%にも達したという。

 この研究調査以降にも、いくつかの調査が行われているが、その結果には大差なく、術前のてい毛は傷口の感染リスクを高めることが客観的には示されている。

 理由はおそらく、人間の皮膚に元々存在している細菌が、カミソリを使ったときの目に見えない小さな傷口に入り込んで増殖するからではないかと考えられている。だから、バリカンのような器具で毛を刈ることは、カミソリで毛を剃る場合よりはましのようだ。

 ただ、1999年の米国疾病防疫センターの手術部位感染予防のマニュアルには、除毛は手術のじゃまにならない限り行うべきでない、と記されている。

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