「どうしてくれる!?」クレーム担当者の奮闘日記

第15回
<お客の怒りが収まらない>
クレームをこじらせない対応

このコラムでは、架空の外食企業のクレーム対応担当者の日常を通して、最善のクレーム対応を考えていきます。

文/水野 孝彦(日経レストラン)、イラスト/蛭子 能収
2006年12月4日

○月×日 夕方
「2次クレーム」が発生

 「○×店の店長。あいつの態度はなんだ! いったい、どんな従業員教育をしているんだ!」。

 今日、店で食事をした男性客から、私のもとに厳しい口調でクレームの電話が入った。怒りのほこ先は店長個人に向けられているが、元々は、料理にビニールの切れ端が混入していたために起きたトラブルだった。

 クレーム対応を誤ると、お客が店長やスタッフに不信感や敵意を持ち、店だけでは解決できない状態になる。これが「2次クレーム」と呼ばれるもので、感情的になっている分、解決にも手間が掛かる。

 最初、このお客は店長を呼んで、「料理にビニールの切れ端が入っている」と告げた。普通ならお詫びをして、大至急料理を作り直すか、あるいは代金を返すところだろう。

 ところが、店長A君の対応は違った。

 「確認してきます」。

 A君は謝りもせずただそう言って厨房に戻り、ビニール片が店側のミスで混入したのかを確認した。お客を待たせること約10分。確認を終えたA君は、「厨房スタッフの作業ミスが原因でした」とお客に報告した。A君に悪気はない。だが、お客にしてみれば、店長は謝りもしないまま意味不明の言葉を残して立ち去り、10分も待たせたうえ、他人に罪をなすりつけて自分の責任を回避しているように見えた。

 A君が、ビニールが入っていた料理分の代金返却を申し出たので、このお客はお金を受け取って店を出た。しかし、怒りが収まらず、お客様相談室に電話を掛けてきたというわけだ。

 「大変申し訳ありませんでした」。私は明日、店長のA君を連れて自宅までお詫びに伺うことにした。

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