実務に役立つ防犯講座

第5回
ホームセキュリティー

ホームセキュリティーの普及率は1 %未満といわれているが、増える傾向にはある。 セコムや綜合警備保障の契約数はここ数年1~2割ずつアップしている。 みずほ情報総研が実施したアンケートでも、2 割が「できれば将来契約したい」と答えている。 施主からの相談に備えて、情報を押さえておけるように、第5 回ではホームセキュリティーの仕組みと、開口部 や住宅内に設置するセンサーを取り上げる。

文/荒川 尚美(日経ホームビルダー)、イラスト/山井 淳一
2005年12月1日

弱点あくまでも威嚇装置にすぎない

 ホームセキュリティーとは、住宅の開口部や室内、外構などにセンサーや防犯カメラなどを取り付け、侵入を検知すると警報を鳴らしたり、誰かに知らせたりするものだ。警備会社に通報が入ると警備員が駆けつけるタイプを「ネットワークセキュリティー(機械警備)」、住まい手に連絡したり警報を鳴らしたりするだけのタイプを 「ローカルセキュリティー(自主防犯)」と呼ぶ。

 期待されている効果は侵入抑止だ。警視庁が2000 年に実施した空き巣被疑者に対するヒアリングでは、3 割が「ホームセキュリティーが入っていると犯行をあきらめた」と回答している。

 実際の被害件数はどのくらいなのだろうか。セコム広報室課長の沖昌徳さんは、「住宅での被害は探すのに苦労するほどわずかだ」と答える。これまでに3000 件以上の住宅にローカルセキュリティーを導入したセキュリティハウス西東京社長の島村一郎さんも、「車上荒らしに遭ってセンサーを解除するカードを盗まれた1 件しか、被害はない」と話す。

 ただ、過信は禁物だ。NPO犯罪予防相談センター理事長の梅本正行さんは、ネットワークセキュリティーを導入していて侵入盗の被害に遭った住宅を数多く見てきたという。「警備員が来るまでの時間をあらかじめ計っておき、警備員が到着する前に盗みを終えて逃げてしまう例が圧倒的に多い。空き巣だけでなく在宅中の侵入もある」と説明する。「セキュリティーシステムを有効に活用するには、音や光を使って威嚇したり、開口部を強化して侵入に時間をかけさせたりするなど、複合的に対策しなければならない」とも。

安全性が高いのは有線

 機器の配線は有線と無線があるが、安全性が高いのは壁のなかにケーブルを隠した有線だ。無線は外的影響で不安定になりやすいうえ、妨害電波を受けると送受信できなくなるという弱点を抱える。窓がない地下室など、電波が届かない場所もある。ただ、有線にも施工の手間やコストがかかるなどのデメリットがあるので、一概にどちらがよいとはいい難い。

 センサーやコントローラーの取り付け位置は慎重に決める必要がある。不適切だと、誤報が増えたり生活しづらくなったりするだけでなく、侵入盗にも壊されやすくなる。機種選びや施工も、防犯性能を左右する重要な要素だ。施工に当たって特に資格はいらないが、日本防犯設備協会が認定する防犯設備士の資格を持ち、施工経験が豊富な人に依頼したほうが安心だ。 (荒川尚美)

弱点1 警備会社やセンサーの裏をかいて侵入する 窓をスライドさせて開けたときのみ反応するセンサーが付いていると、開閉せず窓ガラスを割って侵入するなど、センサーの特徴を熟知して犯行に及ぶ
わざとセンサーを作動させて警備員が到着する時間を確認し、後日、その時間内に犯行を企てる。警備員に誤報と勘違いさせてセンサーを切らせてから犯行に及んだ事件もある
(イラスト:山井淳一)

警備会社によるセキュリティーサービ スを導入していた事務所での被害例。 シャッターに警備会社のステッカーが張られていたにもかかわらず、犯人はスラットを切り破って開錠した
(写真提供:松本建築金物店)

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