経営者のためのカンタン法律講座「それは、違法行為ですよ!」

第1回
店内のBGMに音楽CDを再生
著作権法違反と聞くが、本当?

講師/外国法共同事業オメルベニー・アンド・マイヤーズ法律事務所 パートナー 弁護士 前田 陽司
イラスト/服部 幸平
2005年11月15日

著作権使用料を払わないと違法
テレビ・ラジオの放送はOK

 飲食店などで、ヒット曲がBGMとして流れているのを耳にすることがあると思います。しかし、実はこんなところにも、法律違反の落とし穴が潜んでいます。自分や社員が購入したCDを店舗でBGMとして流したとしましょう。すると、著作権法に抵触してしまうのです。

 自分や部下が購入したCDなのだから、店舗で流して何が悪い?と思うかもしれません。しかし、CDを買ったとしても、買った音楽を自由に使ってよいわけではないのです。

 著作権法では音楽などの著作物について、作曲者などの著作権者に「上演・演奏権」を認めています。店舗での音楽再生は、この演奏権の対象になり、店舗で流すといった営利目的の使用では、別に著作権使用料を支払う必要があるのです。

 こうした点について、日本では理解が進んできませんでした。一部の事業を除き、CDなどの録音物をBGMとして再生演奏する場合、著作権法では「附則第14条」で「当分の間」、著作権料を取らないことになってきたからです。70年以降、「当分の間」が30年続いてきました。しかし、99年に成立した改正著作権法で、附則14条は撤廃されました。

 これを受けて、日本音楽著作権協会(JASRAC)は02年から、BGMとしての店舗での音楽利用について、使用料を徴収するようになりました。例えば、店舗面積が500m2までならば年間6000円、1000m2までは年間1万円、3000m2までは年間2万円、6000m2まででは3万円、9000m2までは4万円、9000m2を超える場合で年間5万円と、六つに区分されています。何曲かけたかではなく、店舗面積に応じて価格が変わります。

 そのため、意外なところで著作権侵害が問われています。例えば、音楽CDを使って生徒にダンスレッスンをしていた名古屋市内の七つのダンス教室が、著作権違反だとしてJASRACに訴えられました。

 この係争では、昨年の9月に最高裁でダンス教室側の上告を受理しない決定が下され、ダンス教室側の敗訴が確定しました。さらにジャズ喫茶などで、過去に遡って著作権使用料を請求された結果、廃業を余儀なくされたケースも出てきています。

 それでは、飲食店のテレビやラジオなどから流れてくる音楽番組などの曲はどうでしょうか? 

 これらの受信機器の場合は、特例として著作権料の支払いは免除されています。

 音楽CDの場合でも、著作権フリーのCDが販売されています。普通の音楽CDよりも割高ですが、店舗などで流しても追加の料金を支払う必要はありません。

前田 陽司氏(まえだ・ようじ)

 1964年広島県生まれ。87年、東京大学法学部在学中に司法試験に合格。
 88年卒業後、90年弁護士登録。
 「起業家サバイバルガイド01」をはじめ、多数の著書を持つ。
 現在、外国法共同事業オメルベニー・アンド・マイヤーズ法律事務所 パートナー。

 
 

SAFETY JAPAN メール

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。