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現実主義に目覚めよ、日本!

第63回
参院選後に退陣した橋本氏と安倍氏の違い

東京財団前会長 日下 公人氏
2007年7月30日

 衆議院は国民一人ひとりの生活に密着した政策を考えるところである。だから、どぶ板選挙でもいい。草の根選挙でもいい。住民エゴでも、会社エゴでも、みんなに甘いことばかりを言っているのが衆議院である。

 しかし、参議院は国家の基本を論ずる場所である。衆議院のような話題から離れて、国家の根本を議論するために参議院がある。だから人数が少なくてもいい。日本の国会ははじめからそういうシステムになっているにもかかわらず、参議院が国家の根本についてまったく議論しないで何十年か経った。だから今、参議院は要らないと言われている。

 では、もし参議院を廃止したら、その後どうするのか。国家の根本を考える上院は必要なのか、必要でないのか。参議院の廃止を議論するなら、そこまでいってもらいたい。日本中、国家の根本などということについては、油断しているのだ。日本国家は1500年ほど前からあまりにもしっかりと続いているから、国民は国家について考えるのを忘れている。

 国家というのものは必ず存在する、我々が自堕落に個人主義でやっていても国家は続く ―― 参議院の議員は皆そう思っているのだろう。有名人になって早く料亭に行きたいとか、そんな人ばかりである。

 そこで安倍首相は、国家の基本を考えるような法案を作り、衆議院を通した。衆議院は自民党が賛成すれば通るからだ。そして参議院へ持っていった。参議院の議員たちはそういうことが分かっていないから、ただ安倍首相を困らせるために時間稼ぎをした。

 だから、安倍首相は17本も強行採決をした。これはすごい。まるで独裁者のようだ。よく言えば、信念があって、実行力があるということだ。

 ところが、強行採決によって成立した法律には、意外と反対がない。強行採決という手段について反対するだけで、中身については何も言わない。反対している人たちは、「未来に責任を持つ」とか「生活に密着する」とか、そんなことしか言えないようだ。

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