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現実主義に目覚めよ、日本!

第56回
本物を求める日本

東京財団前会長 日下 公人氏
2007年4月25日

 黒川伊保子さんというエッセイストが書いた『日本語はなぜ美しいのか』という本がある。その本にはいくつかの興味深いことが書かれていた。

 まず感心したのは、日本人は「母国語」を話しているという指摘だ。母国語は本当に大切なものだから、小学生に英語を教えてはいけない。母国語が完全に身に付いてから英語を教えなさい。英語は中学校からで十分だ、というのが、その本の根本思想である。

 その例証として出てくるのが米国だ。米国人には英語が母国語ではない人がたくさんいる。英国から来た人は英語が母国語だろうが、それ以外は寄せ集めで、お互いにコミュニケーションをするために、仕方なく英語を使っている。つまり米国の英語は記号であり、心がこもっていない。

 それと似た現象が日本にもある。地方から東京に来た人が、方言を隠して無理に標準語を話している。それでいて結婚する相手は同じ故郷の出身者を選んで、家に帰ると方言を使っている。

 あるいは飲み屋でも、郷土料理の店に行くと同じ故郷の出身者が集まってくる。しかし、表面ではみんな標準語で付き合っている。これは少し米国の状況に似ているかもしれない。

 
 

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