第52回
世界一の債権国、日本に味方はいない
東京財団前会長 日下 公人氏
2007年3月8日
日本は現在、世界一の債権大国である。GNP(国民総生産)が500兆円だが、それと同じ500兆円ほどを世界中に貸している。
GNPと同じ規模の債権ということは、それを債務国が返してくれたら、日本人は丸1年間、働かなくてもいいということだ。もし10%ずつの利息をくれたら、年間50兆円も入ってくる。そうなれば、日本国民は税金をいっさい納めなくてもよくなる。
このように、日本は気前よく貸したり投資して、世界一の債権国になっているが、それなのにあらゆる議論でその自覚がなく、日本は貧乏だとか、輸出をして金を稼がなければ生きていけないとか、相変わらずそうした話ばかりが聞こえてくる。
それから、世界各国に金を貸したり投資したり援助したりしているから、みんな感謝しているはずだと日本人は思っているが、これは大間違いで、本当はみんな日本の敵なのだ。金を貸すと嫌われる。そんなことは当たり前であり、どうして日本人は忘れているのだろう。
多くの日本人は、他人に金を貸すときの気持ちがあまり分かっていない。日本人には「何とかお金を借りて、それを真面目に返しました。わたしは立派な人間です」という感覚の人がとても多い。だから、金を貸せば感謝されるだろうと思っているが、外国でそんな感覚を持っている国はない。そのことを日本人は知らなすぎる。
政策研究をしたり、日本国家の将来を考えたりする会合はいろいろなところで開かれている。それらに参加すると、「根本が抜けているな」とわたしはいつも感じる。つまり「金を貸す国はどうあるべきか」という議論がまったくない。貸したら真面目に返してくれる国を想定して議論を進めるのは、根本的に間違っている。
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