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現実主義に目覚めよ、日本!

第51回
思想戦で海外に負けない教育と教科書を

東京財団前会長 日下 公人氏
2007年2月22日

 現代の教育と昔の教育を比べる上で、手がかりになるのが教科書だ。そこで大正時代の教科書をめくってみると、これがものすごくレベルが高い。

 大正時代の教科書には軍国主義はない。その教科書で育った日本の男女が、日中戦争や太平洋戦争の時にちょうど30歳前後だった。彼らは実に冷静沈着に戦争をして、戦争と戦争社会をしっかりと支えた。

 一般市民の多くは、「我々は天皇のため、国家のため、故郷のため、家族のために、全力投球をするぞ」と真面目に考えていた。それなのに、体制側の人間たちがいいかげんな命令を下した。だから必然的に、戦後になって「上をつぶせ」という社会主義がはびこった。

 社会主義によって国家はすっかり自信を失って、何もしなくなった。それでも戦後、日本はここまで経済力を築き上げた。これは昔の教育のおかげである。

 大正時代の教科書の内容は、非常にバラエティがある。そして非常にバランスがよい。小学校1年生の教科書は「ハナ、ハト、マメ」から始まり、具体的に物の名前を教えている。

 研究の第一歩は事物の認識である。観察して認識して名前を付けることがサイエンスの第一歩である。そんなデカルトの指摘を待つまでもなく、またアメリカ心理学の分析を知らなくても、日本の昔の教科書はそのように作られていた。

 それからだんだんと転じて、小学校低学年には、日本の風景の美しさや、人情の美しさを教えていく。子どもの感性を育てるような内容である。

 
 

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