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現実主義に目覚めよ、日本!

第49回
政策提言のやり方が老朽化している

東京財団前会長 日下 公人氏
2007年1月25日

 政策研究・提言は、見た目はとても格好いい。しかも無責任のままできる。とくに財界人は無責任にできるから、やりたがる人がたくさんいる。

 だが、「格好いいから」とばかり調子に乗っていい加減な提言を量産していると、そのうち世の中に軽蔑されてしまう。今、実際にそうなってきている。だから政策提言をしても、新聞に載らない。

 もっと物事の本質を突く提言をしなければならない。例えばこのところ、いじめられた子どもの自殺や、その学校の校長の自殺などが頻発し、それが社会問題化しているが、そうした問題にこそ、間髪入れずに政策提言をすべきだ。

 以前、文部科学省の人に、このいじめ問題について意見を聞かれた。わたしは「そんなのは簡単だ」と答えた。

 文科省のレポートには「いじめの早期発見が必要だ」などと書いてあるが、早期発見は予算を取らなくてもすぐにできるはずだ。まず、いじめられた本人が一番の早期発見者なのだから、その本人のところから対策の研究を出発すればいい。

 すると「名誉心」という問題が出てくる。いじめられている子どもにも名誉心があって、なかなか「いじめられている」とは言い出さない。日本でも外国でも、子どもは健気に頑張るものである。そのかわり、家の中で黙りこくるようになったり、教室の中でも沈みがちになったりと、態度が変わる。その時点で誰かが発見して、力になってあげればいい。

 だが、まず先生はかかわりたくない。「わたしは授業をするだけ。そういうことは家庭で解決してほしい」と逃げている。なぜ先生は逃げるのか。それは、対処法を知らないからだ。それなら、文科省は先生たちに対処法を教えなければいけない。そこまで乗り出さなければいけない。

 
 

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