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現実主義に目覚めよ、日本!

第48回
新しい政策はノイズの中から出てくる

東京財団前会長 日下 公人氏
2007年1月11日

 最近、政策提言は、民間の政策提言家や政策研究家から出るものが多くなってきたが、もともとは官庁が行なっていた。

 官庁は、自分たちの縄張りを増やして予算を取るために、何か新しい政策を華々しく打ち出したいのだ。内容は自分たちでだいたい固めておくが、いざ発表しようというときは、世の中に振り向いてもらうために、多少有名な人の名前を加える。そして、役所がまとめたという形ではなく、審議会報告などのように仕立てる。

 この“人集め”をするとき、本当に研究ができるかどうかよりも見た目で人材を集めるのだ。だから、政策提言は妙なものになってしまう。それなのに、政治家たちは、有名人が集まって作ったから「よいものが出来た」と思っている。

 この顔ぶれで発表すれば新聞に載るだろう、人も賛成するだろう、反対している人も黙るだろう。そのための顔ぶれを揃えて審議会を開き、提言をまとめるのだが、ここで出てくるのは資金負担の問題だ。

 有名人を揃えるための金を誰が出すのか。役所だから税金から出るのだが、そこにいろいろな色がつく。金の出所が分かると結論まで見えてしまうということが往々にして起こる。

 例えば、経団連のシンクタンクに21世紀政策研究所というのがある。2007年から大幅に組織変更されるそうだが、経団連のシンクタンクだから資金の出所は業界・財界である。業界・財界に都合のいいことなら書けるし、悪いことは書けない。

 そのことは国民すべてが分かっているから、いくら愛国心に燃えて提言をまとめても経団連の会員企業の主張の代弁だと思われてしまう。そこには「国家」がない、と。

 このように、あまりに色がついている団体が行なう政策提言や、色のついた資金を使った政策提言は、公正中立を疑われるから、発表しても誰も取り上げてくれない。

 
 

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