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現実主義に目覚めよ、日本!

第32回
職業外交官は謙虚な日本をしたたかに売り込め

東京財団前会長 日下 公人氏
2006年6月1日

米国の居丈高さは変わる前兆か

 最近では、米軍も譲歩するようになったと防衛庁の人たちは言う。昔では考えられなかった。その理由を聞いてみると、それはサマワとインド洋へ自衛隊を出したからだそうだ。米軍も、日本をむげには扱えないと思ったのだろう。

 日本側の交渉態度も昔とは変わってきて、防衛庁は米軍に対してどんどん要求するようになったらしい。「これを通してくれないなら、もう後方支援しませんよ」と米軍に対して言えるようになったのだ。

 防衛庁が「インド洋に軍艦を出して、ただでガソリンを配給するとか、そういうことはもうしません」という内容のことを強く言うと、外務省も「仕方ない」と思って米国へ取り次ぐようになった。

 そういう点では外務省も変わってきている。では米国はどうなのかというと、「いや、そんなにすぐには変われない」と、さらに居丈高になる。しかし逆に言うとそれは、譲歩する前兆かもしれない。

 日本人はなかなかそこまで考えが至らずに、米国というのはさんざん支援させておいてありがたいとも思わないひどい国だなあと、すぐに「米国嫌い」になってしまう。それは日本人の純情可憐なところだが、そうではなくて、「おお、これは譲歩する前兆かな」と思うくらいのしたたかさがないといけない。

 以前は純情可憐なままでよかった。それは日本人が相手にされていなかったからだ。つまり日本は、米国とにらみ合うような、米国から怒鳴られるほどの存在ではなかったということだ。

 だが、今は違う。自衛隊も日本も、米国に怒鳴られ、ふっかけられるくらいになってきた。だから今進行している交渉が正念場なのだ。

 
 

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