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現実主義に目覚めよ、日本!

第30回
日本は外国より100年先進国

東京財団前会長 日下 公人氏
2006年5月18日

日本に根付いている仙人風老後の暮らし

 日本は、誰が見ても平和である。まず、経済を追求した。世界中の国が今、それを一心不乱にやって追いかけている。日本は既にその次の段階にきているのだから、現在を「不景気」といってはいけない。今、日本人はお金よりも心の幸せが欲しいのだ。

 「もっと広いところに住みたい、広いところで遊びたい」という空間消費や、「スケジュールなしでのんびり暮らしたい」という時間消費を日本人は求めている。「それこそが一番の幸福だ」となってきた。

 でも、こうした種類の幸福を知らない人がいる。そういう人は、「おれは今、○○をやっているぞ」「次は○○を始めるぞ」「おれが書いたものがあるから読んでくれ」と僕に言ってくる。そういうものはすべて自分のための消費なんだから、わざわざ人に送りつけるなといいたい。自分ひとりで喜べばいい。その境地に達してほしい。

 中国ではある境地に達すると「仙人」になる。仙人の「仙」という字は、人へんに山と書く。つまり、人は一通りのことが済んだら、あとは山へ行って、仙人になるということだ。仙人はいろいろな欲を捨てて、かすみを食って生きる。死ぬときがくれば死ぬ。

 そういう理想の境地が中国にあって、その概念は日本にも本来、浸透していると思う。ただ、団塊の世代にはあまり浸透していないらしい。それを「俗」という。俗は人へんに谷と書く。つまり俗人は、仙人と違って谷に住む。

 日本には以前から、仙人風老後の過ごし方の先例がたくさんある。それと欧米思想との混合物がこれから発生するだろう。日本の老人は、その両方を比べて選べるから幸せだ。「今日は懐石料理を食べよう、明日はフランス料理を食おう」ということができるのだ。

 あるいは、「今日は友達と集まって孔子や孟子を読んでみて、明日は文化教室へ行ってスペインの文化を勉強する」ということも可能だ。というように、日本の老人はいろいろなことができるのだ。きっと外国人もうらやましがるに違いない。

 また、日本は本の出版点数が多いし、発行部数も多い。そして世界中の本がある。本好きの人には天国といえる。だから、知識を身につけたい人は日本語を勉強すべきだ。要するに、日本は知識社会なのだ。知識を非常に尊ぶ社会であり、“一億総インテリ”なのである。

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