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現実主義に目覚めよ、日本!

第28回
日本人の感覚に科学がやっと追いついてきた

東京財団前会長 日下 公人氏
2006年4月27日

集団的な住み心地なら日本は世界一

 きちんと分析していけば、日本には底力があることが分かる。では、いったい何のための底力なのか。今までは、GNPのため、つまり輸出に役立つ力が底力といわれていたが、これからは違う。

 まず“住み心地の実現”がある。お金ばかりではなく、余暇も自由も欲しい。広々とした空間も欲しい。経済的消費だけでなく「空間消費」「時間消費」、さらには「価値の自由」とか、精神の束縛が少ないこととか、そういう“住み心地”を実現させるための底力が日本にはある。その大部分はすでに実現している。

 よい住み心地を個人的に実現するのではなく、集団的に実現するという点で、日本のシステムは世界最高ではないかと僕は感じている。誰もそういうことを言わないけれど、僕自身やいろいろな話を聞いた実感では、世界最高であると思う。

 個人的な解決でなくグループでの解決を求めると、国家の最適規模の問題となる。多くの人は、スイスやスウェーデンなど、人口700万~900万くらいがいいという。アメリカのように3億人近くもいると、規律や秩序は一番悪い人に合わせることになる。飛行機の搭乗検査では、一番タチの悪い人並みに扱われる。人数が多いと、そうなるのも仕方がない。

 一方で、国家単位での住み心地の実現を考えてみると、大きな問題は、まずは経済の最低規模があるということだ。例えば、自動車を製造するにしても、まず国内市場で売れなければならない。そのためには人口3000万人くらいは欲しいということになる。

 
 

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