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現実主義に目覚めよ、日本!

第22回
日本人の自信回復は経済から外交の段階に移った

東京財団前会長 日下 公人氏
2006年3月16日

実体経済と無関係に経済情報や分析が飛び交う

 政治、外交防衛に比べて、経済は変化の幅が小さい。金利や為替などが1%上がったか下がったか、そんな程度でしかなく、国民はあまり気にしていない。しかし昔からの「取次業者」として、経済新聞はそういう数字を紙面に載せる。

 こうした新聞記者たちの取材を受けるのが「経済予測業者」、つまりエコノミストなどであり、国民はもうそんな話は、この5、6年は大して気にしていない。聞きたいのは「底割れはあるかどうか」。「あるぞ」というと本が売れたわけだが、なかなか底割れが来ないから、「さあ、どうするか」となって、この頃は「底割れはない」という本が売れるようになった。

 それよりも前に国民はもう感じているのだ。「ああ、底割れはないらしい、それなら安心だ」と。それなら貯金を下ろして少しは楽してもいいじゃないかと、個人消費が動き出す。それをとらえて民間企業は新製品を売り出す。最初は少ししか売れないから、統計には出てこない。だから統計を見ている人たちはみんな失業するのだ。そういうメディアも、発行部数がどんどん低下して、失業してしまうのだ。

 このように、実体経済では需要もないのに経済情報や経済分析は飛び交っていた。国民も惰性で経済新聞を広げていたが、実はあまり読んでいない。もっとも、それが健全な状態であって、日本の問題は経済よりも外交防衛のほうにあるのだ。ここ数年の外交を見ていて、政府はみんな腰抜けだと僕はわかった。みんな賢そうに細かいことばかりいっているわけだ。何か根本からやり方を変えなければいけないなと思っている。

 
 

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