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現実主義に目覚めよ、日本!

第12回
バランスを取るだけの人はもう要らない!
~選挙も企業経営も方針の絞り込みが必要に~

東京財団前会長 日下 公人氏
2006年1月5日

争点を明快にした小泉さんが圧勝した

首相年頭会見・小泉首相、年頭会見
年頭記者会見に臨む小泉純一郎首相(東京・首相官邸)
(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)

 昨年9月、小泉首相が「今日とうとう解散いたしました」といったのを、僕はテレビの報道で見ていた。そのとき、横にいた人が「今日、解散になりました。いったいどうなると思いますか、日下さん」と聞かれたので、「小泉さんの圧勝です」と答えたら、「そんな話は他では聞いたことがありません」と言われた。それはそうだ。僕は他で聞いたかどうかなどは眼中にないのだから。さらに相手は「どうしてそうお考えですか」と聞くから、「投票率が上がるからです」と答えた。

 相手は「どうして投票率が上がるとわかるのですか。政治評論家は誰もそんなことを言っていませんよ」と続けた。だから僕は「それが間違いなんだ。浮動票がどっと出るんですよ」という。するとまた相手は「なぜ浮動票が出るのですか」とくる。

 こんなバカなやりとりはない。なぜなら小泉さんは、国民に『決めてくれ』と決定権を差し出したのだ。こんなうれしいことが他にあるだろうか。今まで、学識経験者の意見を聞いたり、自民党と公明党の動きを追って頭数を数えたりして「郵政民営化はこうなる」と議論してきたのは、投票率が45~50%程度のときの話なのだから。

 それが、今回は投票率がバーッと上がることが予想できた。投票率が3%上がったら、公明党なんか消えてしまう。たった3%ぐらいの票で、公明党はこっちにつく、あっちにつくといっていたのだから。ということは、投票率が上がったら、政党を分析するプロの政治評論家の意見は全部意味がなくなってしまうのだ。細かい話はみんないらなくなるわけだから。国民の声が浮動票になって、投票率が上がって、小泉圧勝になって、郵政民営化でも何でも、改革は全部できるようになるのだ。

 そしてそれは実証された。僕の言ったことは、理屈は通っていたわけだが、聞いている人はその実感がなかったわけだ。なぜ実感がないのか。それは、新聞ばかり読むからだ。新聞などに頼らず、自分の奥さんに聞けばわかる。簡単なことだ。

 
 

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