バックナンバー一覧▼

現実主義に目覚めよ、日本!

第11回
強くなった日本とアイデンティティーを持てない台湾の未来

東京財団前会長 日下 公人氏
2005年12月22日

アメリカと中国だけを気にする台湾の学者たち

李登輝前総統、陳水扁総統を非難
2月26日、台北で行われた台湾独立派集会で演説する李登輝前総統。李前総統は演説で、第2野党・親民党と協力し、独立政策を推進していないとして、陳水扁総統を非難した(台湾・台北)
(写真提供:AFP=時事。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)

 先日、台湾へ行って、李登輝元総統と対談した。彼とはもう十何年以上の付き合いだが、冒頭、いきなり「日本は強くなったね、だけど台湾は弱くなってね」といわれた。

 2004年に日本と台湾の学者会議があり、そのとき最後に僕は、台湾の学者たちに向かってこんなことをいった。

 「あなたたちが前提としている日本はもうありません。日本は生まれ変わりました。これから姿を現す日本は、男性的な日本です。四カ国関係を議論するときに、あなたたちの議論は、中国はどう出る、アメリカはどう出るという話だけやたら詳しくやっている。台湾という軸がない。日本というのも漂流している日本だ。この2つの議論を、あなたたちは全然やらない。アメリカと中国だけ。こんなバカな会議があるか。それは古い。来年から日本はちゃんと軸になりますから、日本を含めたこういう会議をしなければいけません」

 それが、だいぶ具体化してきたようだ。安部晋三さんが官房長官になったので、これから彼はだんだんとこの問題に触れていくはずだ。でも、そうした状況とは関係なく、李登輝さんは「日本は強くなりましたね」といきなり行ったのだから、本当に賢い人だなと僕は思った。

 弱い国のリーダーほど賢くなるものだ。情報にも敏感になるし、分析もするようになる。日本のエリートたちがみんなバカなのは、日本が強いからだ。後追いの施策でも間に合うからなのだ。

 
 

SAFETY JAPAN メール

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。