バックナンバー一覧▼

現実主義に目覚めよ、日本!

第6回
政治家や公務員の精神を根本から正す妙案
~政治家にカネを払うな、公務員にはスト権を与えよ~

東京財団前会長 日下 公人氏
2005年11月17日

政治が「商売」になったからおかしくなった

 日本の政治がこんなにおかしくなったのは、議員に給料をたんまり払ったからだと田中角栄元首相が言っていた。町会議員や市会議員にいたるまで、たっぷり給料を払ったから、政治が「商売」になってしまったということだ。

 商売だから彼らはやめられない。元手もかかっているし、再び当選して種銭を回収するためには何でもする。自分の信念も良心もなく、ただ「当選商売」になってしまったのは、給料を払ったせいだ。

 結果、政治家の発言を誰も聞かなくなった。田中角栄元首相がいうには、昔は政治家などは「名誉職」であって、財産のある人が引き受け、損をしながらまとめ役をやっていたから、少々のことはみんなも折り合いをつけていた。それが地方自治であり国家の姿であったのに、それが商売になってしまったからうまく機能しなくなったという。ごり押しの印象が強い田中角栄さんがそういうのも不思議な気がするが・・・。

塩川自民党前財務相
インタビューに応える自民党の塩川正十郎前財務相(東京・永田町の衆議院第1議員会館)
(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)

 そういう「商売政治家」の中にあって、塩川正十郎元財務大臣は例外といえる。塩川さんは財務大臣だったとき、「プラン・ドゥ・シー」を標榜した。すなわち、民間企業では、計画を立てて(プラン)、実行したら(ドゥ)、もう1回それを見直しする(シー)。ところが役所は見直しをしない。プランを立てて予算を配ったら、あとはアフターケアも点検もしていない。「それはいかんから、シーをやれ」と、塩川さんは大臣として命令した。

 そんなことを言っても、周囲はうまくいくわけがないと思っていた。つまり、財務省の人たちがサボるだろうと思われていた。「1、2年の辛抱だから、このくらいでお茶を濁しておけ」という態度になってしまうと思われていた。実際にそうだったようだが、でも塩川さんは穏やかに大阪弁で、「まあ、そんなこと言わんと、ちょっと10人くらい専門の担当者を置いてみたらどうだ」といった。そうすると財務省の公務員たちも5人くらいは置く。そこからレポートが出てくると「おもろいな、もうちょっとやってみたらどないやねん」となる。そして結局、20人ほどのチームができて、動き出すことになる。

 これは僕の想像だが、省内で担当者は「どうせ先の長くない大臣に仕えて、シャカリキにやって仲間に嫌われてバカなヤツだ」というくらいのことは言われていたのではないかと思う。それでも、無駄遣いが250億円くらい発覚した。これを塩川さんは新聞に発表した。省内に、いろいろと理屈の通らないおかしなことがたくさんあった。明白にこれは無駄だという部分が250億円ほど出てきたのだ。

 
 

SAFETY JAPAN メール

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。