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現実主義に目覚めよ、日本!

第4回
国益を守るための「手段」を自ら規定せよ

東京財団前会長 日下 公人氏
2005年11月2日

第1の国益を戦争で守るアメリカ

自衛隊イラク派遣基本計画・記者会見する小泉首相
自衛隊イラク派遣基本計画の閣議決定を受けての記者会見で日本国憲法の前文を読み上げる小泉純一郎首相(東京・首相官邸)
(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)

 10年ほど前にアメリカで、国益の定義付けをしようという研究会が行われた。上院、下院議員が約10名ずつ集まり、CIA長官も参加した。そのレポートでは、国益が1~5の5つのグレードに分けられた。最も重要な国益である1においては、アメリカ単独でも戦争を行って守るという内容だった。2番目は同盟国と協同して守る国益で、3番目以降は戦争以外の手段でなるべく解決する国益だ。

 グレードに分けるときに、なぜ戦争が出てくるのか。日本人はそう思うかもしれないが、アメリカ人にはそれが当然なのだ。国益であるからには、守らなければいけない。守る方法として一番確かなのは戦争だ。嫌がらせ、ネゴシエーション、恫喝(どうかつ)、さらには友好親善などで守る国益などは、一番グレードが低い。

 では日本はどうなのか。戦争以外の手段で守るわけだから、1番目と2番目がないことになる。領土や主権や拉致など、世界中の誰が考えても1番目で守るべきものが、アメリカでいう3番目以降に該当してしまう。友好親善で守れるだけは守るということだ。

 以前はそれでもある程度は可能だった。でも現在は、友好親善では守れない国益が出てきた。それは、友好親善では相手がつけこんでくるからだ。そこで最近、日本は怒るようになってきた。中国の胡錦濤主席などは、今ごろ大変後悔しているだろうと思う。中国だけでなく、僕はアメリカもそうだと思う。

 先日、僕は講演を頼まれて、とっさにつけたタイトルが「頼られる日本、頼りない日本」だった。それでは誰が頼るのかなと考えると、まずアメリカが頼る。そして中国も、ロシアも頼るはずだ。となると、世界中から頼られることになる。完全に立場が逆転している。だからブッシュは日本にやって来るのだ。

 
 

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