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現実主義に目覚めよ、日本!

第3回
小泉改革は一気に進み、国家主権と防衛が焦点になる

東京財団前会長 日下 公人氏
2005年10月27日

公務員がサボタージュしても改革は進む

 9月の衆議院選挙では、小泉さんが圧勝した。ではこれからどうなるのかというと、いわゆる「小泉改革」が進むことになる。小泉さんが好んで取り上げる問題は政府系金融機関の統廃合だが、これはなんとか進むはずだ。次に国家公務員制度改革があるが、これは「できない」という人が多数派のようだ。なぜなら国家公務員に身を削るような改革を求めても、ありとあらゆる逃げ道を用意するからだ。

地方6団体が小泉首相に改革案を提出
小泉純一郎首相(中央右)に三位一体改革・補助金改革案を手渡す麻生渡全国知事会会長(同左、福岡県知事)ら地方6団体の代表者(東京・首相官邸)
(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)

 そして次に、三位一体の改革(※注)がある。これは県の知事会が変わってきたから、半分は進んでいる。しかし「道州制まではいかないだろう」などと、みんなが達観している。省庁と自治体の攻防を見ている限りでは、いかにものんびりムードだが、でも僕は、もっと先まで進むと思っている。

※三位一体の改革 「地方自治体への補助金削減」「税源の地方移譲」「地方交付税の見直し」の三位一体改革を巡って中央官庁と地方自治体が綱引きを続けている。

 小泉さんはこれから、もっと「新しい力」を振るうはずだ。多年にわたって付き合ってきた自民党同志や長老を、公認せず切り捨てたくらいだから、国家公務員の局長の10人や20人程度クビにするのは簡単だ。10人ほどクビにしたら、残りの人たちはみんないうことを聞くようになる。そうすれば、小泉さんの改革は進むだろう。それを予想できない自治体は、時代遅れといっていい。

 これまで公務員があらん限りのサボタージュをしてプランを提出しないでいると、アメリカ人が代わりに作って持ってきた。郵政改革などはその典型だ。しかし、そのプランは実情を知らないアメリカ人が書くから理屈が通っていない。でも内閣府にいる民間出身者たちは、「これはいいね、話が通ってるね」と言う。そして小泉さんが見て、「ああそれはけっこうだ、その通り法案に書いておけ」と全面採用した。

 自民党の民族派は「これではアメリカの手先であり、アメリカの陰謀に引っかかっただけだ」と批判する。しかし私がいいたいのは「では肝心の中身はどうなんだ」ということ。中身に関係なく輸入品だからと反発して、反対票を投じたら、今の政局では切り捨てられてしまうだけだ。そういう現実が目の前にある。官僚がサボタージュすれば、世界中からプランが出てくるのだ。そのプランを部分修正して活用したら、新聞は小泉は後退したとか、一歩引いたとか、そんなことばかり書いているが、当の新聞はどんな提案を出したというのか。もっと中身をどう練り上げるかの話をすべきではないか。

 僕は、郵政民営化関連法案の中身については、何でもいいから通しておけと思っていた。数年先にいくらでも変えればいいんだから。どうせ、そんなことをいってる間に国営郵便局などつぶれてしまうんだから。このところの郵政民営化をめぐる対立など、ポーズとポーズのケンカだと僕は思う。

 
 

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