年齢にかかわりなく働ける社会が実現する
わたしは、日本人材紹介事業協会の理事という肩書をもっている。これは、民営職業紹介の企業が集まった社団法人なのだが、先日、その理事会でこの話を披露してみたところ、理事の方々から「森永さんの言う通りだ」という思いのほかの賛同を得て、心を強くした次第である。
そして、その場で興味深い話を聞くことができた。発言の主は、かつてフジサンケイグループの人事に携わってきた人である。
今では考えられないことだが、昭和40年代まで、ニッポン放送もフジテレビも、女性の定年は、なんと25歳だったのだそうだ。その人は、しみじみとこう語った。「女性差別を撤廃したのは、いまから振り返ると実に正しい経営判断だった。女性をあのまま25歳で辞めさせていたら、いまのグループの発展はなかっただろう」。
確かに、25歳以上の女性がいないメディア企業など、今では想像もつかない。しかし当時は、そのことにほとんどの人が疑問を抱いていなかったのもまた事実である。もし、今の時代に女性が25歳定年などといったら、その会社は世の中から袋叩きにあうに違いない。でも、昭和40年代にはそれが当たり前だったのである。
昭和40年代なんて、わたしたちの年代の者にとっては、つい最近のことだ。そう思うと、人びとの意識や考え方なんて、短期間でがらっと変わるものだということがよく分かる。
20年前、男女雇用均等法など無謀だと言われていたが、今ではすっかり定着した。そして今、年齢差別禁止は無謀だと思っている人も少なくない。しかし、時間が経てばこれもまた間違いなく定着するだろう。
そのときに何が起きるか。
中高年男性は今、減給、降格人事など、会社からひどい仕打ちを受けている。だからといって会社を辞めても行き場がなく、せいぜいパート仕事くらい。それでは困るから我慢して会社に残り、奴隷のようにこき使われているわけだ。
しかし、年齢差別の意識がなくなり、中高年がもう少し軽やかに転職できるような時代になれば、どうだろうか。会社の暴走もかなり食い止められるのではないかと思う。ぜひ、そうした時代になってほしいものである。
そのためにも、年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けて、わたしは今回の改正雇用対策法に大きな期待を抱いているのである。
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