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構造改革をどう生きるか

第93回
自民大敗より大きい「経済不安の種」

経済アナリスト 森永 卓郎氏
2007年8月6日

 自民党大敗の原因について、世の中ではいろいろなことが言われている。年金問題がいけなかったという人、赤城大臣の問題が決定的だったという人、いや松岡大臣の自殺がすべての始まりだったという人など、さまざまである。そうした議論に共通しているのは、安倍総理自身に責任はあるにせよ、むしろ周囲の人材やタイミングに恵まれなかったという考えだろう。

 しかし、わたしはやはり、安倍総理本人が戦略をミスしたことが大きく響いていると思う。戦略ミスは今年の初めから起きている。それは、「参議院選挙の争点は憲法改正だ」と言い出したことだ。この発言で民主党との対決は100%決定的となった。

 というのも、それまでは、憲法改正について自民党と民主党が手を携えてやろうという了解がとれていた。だからこそ、憲法改正の手続法である国民投票法案が採択されたわけだ。その時点では、「手続法は定めるけれども、憲法は大切なものだから、自民党も民主党も垣根を越えていいものを作り、現実を踏まえた憲法にしよう」という方針だったのだ。従来のような、解釈改憲の積み重ねによって、砂上の楼閣を積み重ねていくのを避けようとしていたわけである。

 もちろん、対象になるのは9条だけではない。憲法全体について理想像を追っていこうとしたのだ。

 しかし安倍総理は、明言こそしなかったものの、事実上、憲法9条の改定をぶちあげた。そうすれば、意見の一致していない民主党は混乱に陥り、分裂状態になるかもしれないと彼なりに考えたのだろう。

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