公的年金でヘッジファンドを‥‥
さらに一歩進んで考えてみよう。ハゲタカというのは規模の大きいほうが勝つというのが基本である。企業の奪い合いや乗っ取り合戦になったとき、最終的にはどれだけ資産を持っているかがものを言う。
そこでよく考えてみると、日本の年金積立金というのは世界最大規模ではないか。それならいっそのこと、公的年金自身がハゲタカになってはいかがだろうか。150兆円の金を元にして、世界中の企業を買いまくるのである。その利益で日本国民の年金を支払っていくというのも、一つの手だ。村上ファンドもゴールドマンサックスも真っ青になるほどの和製ハゲタカの創業である。
ただ、この案には弱点もある。ハゲタカをやっていると、大儲けできるときもあれば、穴があくときもあるからだ。
ハゲタカではないが、かつて独立行政法人の前身である年金資金運用基金が、株式投資で大赤字を出したことがある。株式市場の低迷によって、2001年度に単年度で1兆3100億円、累積で3兆100億円の赤字を出したのだが、そのときは日本中の経済評論家に袋叩きにされてしまった。やはり、日本では公的資金を高リスク資産で運用するには批判が強いのである。
気の毒なのは、昨年度は株価の急激な上昇があったために、市場運用の部分だけで14%のハイリターンで運用できたのだが、誰もそれを評価してあげないことである。
失敗したときはさんざん叩いておいて、うまくいったときには評価しないというのは、この国の悪しき風習ではないだろうか。そんな状況では、いくらなんでも年金でハゲタカをやるわけにはいかない。まずは国民の意識を改革して、最悪の場合は大赤字でもいいからという覚悟を決めて、イチかバチかの勝負に出るのはいかがだろうか。
公的年金のハゲタカなんて、想像するだけでも面白いではないか。乗っ取られる側の企業にしても、相手が村上ファンドやスティール・パートナーズなら腹が立つかもしれないが、公的年金に乗っ取られるならば「まあいいか。しかたがないや」と思う‥‥かもしれない。
わたしは一人、この考えに悦に入っているのだが、残念ながら今のところ誰もこうした提案に賛同してくれる人がいない。この文章を読んで、「なるほど」と思った関係者の方は、ぜひご一考を願いたいものである。
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