M&Aは企業文化の多様性を破壊する
第4に、M&Aは吸収される企業の文化を破壊してしまう。吸収された企業の従業員は吸収した側の従業員に「支配」され、吸収された側の企業が培ってきた製品や文化は容赦なく切り捨てられる。
例えば、ペンタックスがHOYAの買収を拒絶しているのは、企業文化が違いすぎるからだ。ペンタックスは旭光学の時代からずっと技術マニアのかたまりで、ペンタックスでなければダメだという技術者たちを抱えてきた。
一方、HOYAは合理的な経営で、コーポレートガバナンスもしっかりしている分、ペンタックスの技術マニアが好き勝手なことをするのを許さないだろう。
だが、実はペンタックスの顧客の多くはそのマニア的な部分が好きなのだ。
UFJ銀行と東京三菱銀行の合併も同じだ。UFJは自由闊達(かったつ)な社風で、社員は好きなことができたが、三菱は体質的にきちんとしていてルールと手続きを重んじる。だから、UFJの商品開発力も生かされなくなる。
UFJの会員制組織があって、わたしは会員たちを秋葉原のメイド喫茶ツアーなどに連れて行ったものだが、三菱文化ではそれはできない。
結局、M&Aによって企業文化の多様性が失われる。これは、株主以外のステークホルダー、つまり従業員や顧客、取引先に幸福をもたらさないだろう。
長期的に見て、三角合併の推進を含めたM&Aの活発化は日本の企業や経済を強くすることにはならない。
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