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構造改革をどう生きるか

カネボウとは比べものにならない経済的・社会的影響

 堀江被告の実刑が重すぎると主張する人たちは、やはり粉飾決算が問題になったカネボウを引き合いに出す。

 確かに、カネボウの帆足隆 元社長らによる粉飾決算は800億円という巨額なものであった。それでいて、元社長は執行猶予付きの懲役2年という判決を受けている。現在問題となっている日興コーディアル証券にしても、巨額の粉飾を行いながら、今のところ追徴金5億円にとどまっている。

 それに対してライブドアは、3億円の赤字だった連結決算利益を、50億円の黒字に粉飾したわけだから、粉飾の金額自体は53億円である。「粉飾額が1桁小さいのに、判決が逆に重いのはおかしいではないか」というわけだ。

 しかし、わたしはそうは思わない。それは、単に堀江被告が犯行を否認し続け、反省の意を示さなかっただけではない。ライブドア事件による経済的影響、社会的影響は、カネボウとは比較にならないくらい大きいからだ。

 経済的な影響は、粉飾額の53億円にとどまらない。それは、ライブドアの時価総額の変化を見ていくと理解できる。

 2006年1月16日に東京地検特捜部の強制捜査が入った直後から、ライブドアの株価は暴落。2月1日には94円にまで下がっている。その間、わずか2週間で6300億円の時価総額が消えてなくなったわけだ。ライブドアの株を買った個人投資家は15万~20万人に及ぶといわれる。6300億円の大部分は、そうした個人投資家の損害なのである。

 もちろん、それが正当な経済活動の結果ならやむを得ないだろう。だが、個人投資家たちは、決算が粉飾されているとは思わずに、ライブドアという企業を信用して投資していたのである。

 それだけではない。個人投資家たちの損失の一部によって、堀江被告が大金持ちになったことを忘れてはならない。つまり、ライブドア事件というのは、粉飾という虚偽の情報を流して株価をつり上げ、堀江被告がその株価で大もうけをするという構造だったのだ。

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