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構造改革をどう生きるか

角福戦争の再現が民主復活のカギ

 もう一つのうまさは対自民党戦略である。小沢さんの発言を聞いていると、かつて自民党内で繰り広げられた「角福戦争」(1972年、自民党の後継総裁を狙って田中角栄さんと福田赳夫さんの2人が戦った)をもう一度、再現しようとしているのではないかと思える。

 小泉さんは福田派の流れをくみ、小沢さんはもちろん純正の田中派だ。田中角栄さんは利権、癒着、腐敗の象徴のようにいわれているが、実際は国土の均衡ある発展を政策の目的としていた。地方の農家でもお父さんが出稼ぎに行かず、地元で暮らしていける生活を保障する。そのためにバラまき行政をやったのだが、根底には平等かつ平和主義があったと思う。対中国政策も親中が基本だ。

 これに対して、福田派は競争主義かつ対米追従で、反中が基本。

 実はこの対立は国民にとってわかりやすい構図である。過去、前原前代表までの民主党と小泉自民党の違いはわかりにくかった。特にひどかったのは郵政民営化問題だ。民営化には賛成だが、自民党案には反対で、しかも対案はない。これではわけが分からない。

 やはり民主党は労働組合が支持母体なので、公務員の削減問題なども明確にできない弱みがある。憲法や安全保障についても同じだ。改憲論者がいるかと思えば、根っからの護憲論者もいる。これが小沢さんになって、小沢節が通せる可能性が出てきた。

 実は小沢さんは「自分を変える」とはいったものの、政策は一切変えていない。靖国問題では東京裁判は不当だと主張しているが、戦争指導者たちを靖国神社に祀るべきではなく、分祀すべきと語っている。雇用慣行などもこれまでの終身雇用制度は一種のセーフティネットとして機能していると述べるなど明確な小沢色がある。

 私自身は旧自由党の政策に賛成ではないが、論理的には一番整合性の高い政策だと思う。自己矛盾がなく、実現可能性が高い。これは小沢さんが人のいうことを聞かないから可能なのだろう。

 渡部さんは今回の代表選について「小沢一郎にとってラストチャンス。だから自分を変えてでもやる」と語ったが、そのチャンスは民主党代表ではなく、小泉自民党を倒すことだろう。小沢さんはきっと、小泉さんより自分の方がいい政治ができると確信しているはずだ。

 そのためにも自民党との違いを鮮明にして、国民にアピールするにはどうするか。そこで、「角福戦争」の再現なのだ。福田派小泉に対して、田中派小沢が打ち出せるのは、たぶん「格差社会の是正」だと思う。ボロボロになった地方や、年収100万円の人たちはこのままでいいのか。

 来年の参院選に向けて、小沢民主党がどこまで国民にアピールしていけるかが、失地回復、さらには政権奪回のカギを握るはずだ。

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