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構造改革をどう生きるか

ホリエモンが在京キー局をほしがったわけ

2005流行カタログ・ホリエモン
個人で計画する宇宙旅行事業について、使用する予定のロシアの「アルマズ」のカプセルに乗り込み、記者発表する堀江貴文ライブドア社長(福岡市のマリンメッセ展示会場)
(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)

 では、ホリエモンのどこに問題があったのだろうか。

 それを考える前に、彼の人となりを少々考えてみたいと思う。

 かくいう私は、堀江前社長と3回ほど会ったことがある。数少ない出会いであるが、この出会いを通じて、よくも悪くも彼がかなり興味深い人間であることを、身近で感じることができた。

 初めて会ったのは、2004年12月3日。私が持っているニッポン放送の番組に出演してもらったのである。もちろん、当時は、まだニッポン放送の株買い占めの話などは出ていないころだ。

 私としては、それまで自分の番組に大物が来なかったので、ホリエモンの出演にたいそう喜んだものだった。

 当時、彼はプロ野球の新規参入が失敗し、「高崎競馬がほしい」と発言していた時期である。

 さっそくその理由を尋ねてみると、彼はこう答えた。

「完全競争市場では利益は出ません。でも、規制があれば、そこに超過利益が生まれますからね」

 経済学でいう「レント」の考え方である。

「じゃあ、現在レントをもっとも抱え込んでいる業界はどこでしょうかね」

 私が質問すると、彼は即座に答えた。

「在京キー局ですよ」

 私は感心した。確かに、地上波が5波しかなくて新規参入ができないために、テレビ局は莫大な超過利益を生んでいる。

 それに対して、彼のそれまでの企業買収はといえば、成果主義を掲げて給料をドンと下げるというものだ。

 もし、フジテレビの買収に成功して社員の給料を下げることができたなら、彼はとんでもない超過利益を手に入れていたことだろう。

 その意味では、彼の目のつけどころは鋭く、正しかったといえよう。

 その当日、彼はニッポン放送の社屋を隅々まで見て回っている。どうも、あの日が、ニッポン放送乗っ取り計画の原点になったと思えてならないのだ。

「いったい、堀江さんは何をしたいんですか」

「時価総額世界一になりたいんです。ソフトバンクを抜きたいですね」

 彼は、野心満々で答える。

 だが、「そこまで金をふくらませてどうするんですか」と聞くと答えがない。

「代わりに使いましょうか」と冗談半分に言うと、「いやだ」と言う。

 彼の最終目標は、常にお金を増やすことなのだ。

 彼の心の中まで立ち入ることはできないが、少なくとも、ものすごく頭の切れる人間であることはわかった。

 私自身が東京大学に入学して気づいたのだが、東大生の1割は桁違いに頭がいい。まるで、農耕馬とサラブレッドとの違いである。まさしく彼は、そのサラブレッドに当たる人間だった。

 おそらく、彼の出身地の久留米では「孤高の天才」であり、周囲の人間はみなバカに見えたに違いない。

 現に、つまらぬ質問をするインタビュアーの前では、何か別の仕事をしながら答えていたのだという。能力があまってしまうわけだ。

 だが、あまりにも彼は頭がよすぎた。そのために、彼には友人ができなかった……。

 実は、これこそがホリエモンのすべての原点なのだ。

 心を許せる友人のいないホリエモンを夢中にさせたのが、「時価総額世界一」という目標だった。そして、その目標はいつしか手段と化していく。

 やがて「目標達成のためには手段を選ばない」「法律を破っても、捕まらなければいい」という発想が、彼の経営方針になっていったことは想像に難くない。

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