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厳しい時代に「生き残る」には

第182回:
似ているようで全く異なる与党と民主党の景気対策

経済アナリスト 森永 卓郎氏
2009年4月28日

 4月10日に政府与党の追加景気対策が発表された。当初、真水で10兆円といわれたが、それより大きな15兆円の規模になった。景気の落ち込みが激しいなかで、まだまだ金額面において不満はあるものの、ようやく過去最大規模の景気対策を打つ決断を政府がしたことは評価できる。

 これで、民主党が既に発表している20兆円という景気対策にかなり近づいた。そのために、ほとんどすべてのメディアは、与野党の景気対策は内容が似たりよったりになったと伝えているが、それは本当だろうか。いや、きちんと両者を精査してみれば、その内容は全く違っていることに気づくだろう。

 確かに、金額にそれほど大きな差はなく、似かよった項目も数多くある。例えば、エコカーやエコ家電への買い替え促進、太陽光発電に対する補助、介護職員の待遇改善、子育て手当など、多くの部分で両者の政策は共通しているのは事実だ。

 ただ、大きな違いが一つある。それは、自民党は一回勝負の景気対策であり、民主党は構造自体を変えようとしている点である。言い換えれば、瀕死の重症を負っている日本経済に対して、自民党はまず応急手当として止血しようとしているのに対して、民主党は大手術を試みようとしているのだ。

 だから、一見して金額に大きな違いはなくても、何年ものスパンで考えていけば、その差は桁違いになる。なぜなら、民主党は後年度負担として残ることばかりやろうとしているからだ。

 だから、与党案ならば失敗しても1年限りの話となる。一方、民主党案は、実現すれば日本を大きく変える期待ができる一方で、リスクもまた非常に大きい。民主党は、失敗が許されない大勝負に出たと見るのが正解だろう。

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